紬の単衣の着物を洗濯したらゴワゴワに硬い感じになってしまいました。

Q:紬の単衣の着物ですが、自宅の洗濯機でネットに入れて手洗いモードで洗いました。
その後着物ハンガーに吊るして半乾きの状態からアイロンをかけたところ、着物がゴワゴワに硬い感じになってしまいました。
再度、今度は手で押し洗いしてみましたが、やはり糊付けしたみたいに硬いのですが、直す方法はありますか。また、今後どのように扱ったらよいでしょうか。

答える人・大久保信子さん

単衣であっても、紬ならば絹ですので、水を通したら、縮んでゴワゴワになってしまいます。

麻や木綿など植物素材のものは、水で洗えますが動物素材である絹は、悉皆屋さんなど、専門店に洗いをお願いするのが基本です。

ちなみに着物は、そんなに自宅でじゃぶじゃぶ洗うものではありません。 着る頻度が高くても、脱いだ後すぐに袖口や衿など、汚れやすいところをお手入れしていればそんなに汚れないものですよ。

もし、洗ってしまってゴワゴワになってしまったのなら、それ以上なにも手をつけず、プロの手へゆだねましょう。悉皆屋さんによっては、元に戻していただけますよ

答える人・森 荷葉さん

いくつか誤解があるように思えます。

“家庭用ドライクリーニング“は、クリーニング店などの専門店のドライクリーニングとは異なります。
専門店のドライクリーニングは、石油系の洗剤を用いており、文字通り“ドライ”なクリーニングですが、家庭用ドライクリーニングでは、必ず水を通しますね。

織物は、特に撚りの掛かった糸を使ったものだと、水に通したときに必ず縮んで硬くなります。

また、その着物は、“紬糸”で織られた着物、ということだと思いますが、この“紬糸”は、蚕の繭から取られたもの。すなわち、絹糸と同じ性質を持ちます。

絹のシャツなどを自宅で洗ったときのことを思い出してみてください。
洗い上がったシャツは、もとの風合いよりもゴワついていることが多いはずです。
紬糸の着物も同様です。

しっかり水通しをして仕立てられた木綿の着物や麻などの植物繊維の単衣であれば、自宅で洗ってもそれほど大きな問題はありませんが、蚕が吐いた絹や、獣毛(=ウール)などの動物性繊維の着物は、丸洗い、すなわちドライクリーニングが原則です。

「単衣の着物だから、自宅で洗える」というふうに判断なさったようですが、単衣ならなんでも自宅で洗えるわけではありません。
アンティークの着物などをうっかり自宅で洗ってしまうと、色が抜けて、ほかのものに色がうつることもあります。

なお、硬く縮んでしまった着物の復元方法ですが、悉皆屋さんで洗い張りをすることで、かなり元に近い状態まで戻ります。
ただし、お金も相当かかるので、紬を含めた絹物や撚りの強い糸で織られたものなどは、最初から専門家に任せたほうがお得です。