基本の(き):ゆかた

 真夏に映える大胆な柄のゆかた。この季節ならではのお楽しみだが、夏着物ならいざしらず、大人が楽しむ方法ってあ
るの?
 ゆかたと着物の違いは「衿」にある、と言う着物スタイリストの秋月洋子さん。素肌にゆかたをまとった下駄姿なら、いわばTシャツとジーンズにサンダルを合わせたスタイル。しかし、長じゅ
ばんにゆかたを重ね、半衿をのぞかせると「着物風」になるというわけ。Tシャツとジーンズも、アクセサリーや靴でお出かけ着にできることと似ている。
 どちらが向くかは、シーン次第。大人も満足できるゆかたのコーディネートを、早速、秋月さんに教えていただきま
しょう!
(左)半衿ちらりで夏着物風に。半衿を付けたら足袋もはいて。 
(右)長じゅばんを着用せず、半衿がないゆかたならではの着こなし。半幅帯で気楽に。足袋ありでも足袋なしでもOK。
左 〈衿なしスタイル〉 半幅帯に下駄を鳴らして
かれんに咲く秋草の柄と優雅に羽根を広げるとんぼの帯は、初秋の野山を感じさせる物語のあるスタイル。満月に見立てた帯留めと深い緑の三分紐で、全体を引き締めて。

右〈衿ありスタイル〉 雪花絞りで涼やかに
綿絽に絞りをほどこした1枚。上質な麻の素材感と爽やかな水色が持ち味の兵児(へこ)帯なら、大人の甘さのあるクールな装いに。街中はもちろん、リゾート地にも映えそう。

左〈衿ありスタイル〉 色数を絞った大人のマリン
紺の縞(しま)を「波」に見立て、魚の帯留めや船柄の帯揚げなど、海のモチーフで遊んだ着こなし。白地の帯で色数を絞り、涼やかに。衿と足袋で美術館や食事会にも◎。

右〈衿なしスタイル〉 帯や小物で引き算して
ゆかたと帯の地色をベージュに統一。帯揚げや履き物、バッグといった小物類の色はゆかたの柄から拾い、なおかつワントーン落とすことで、甘くならず大人っぽい印象に。


「湯上がり」や「夏祭り」だけじゃない。
幅広いシーンで着られるサマーワンピース

教える人、スタイリング*秋月洋子(スタイリスト)
文*佐々木香織
撮影*有賀傑イラスト*上田みゆき