文様のふ・し・ぎ 2

雪輪~ゆきわ~

[雪輪文様]
白く清らかで美しく、豊作豊穣の瑞兆(ずいちょう)とされた雪は、古来からさまざまな形で図案化、文様化されてきた。なかでも、円形にくぼみがある「雪輪」や、雪の結晶を文様化した「雪華」は、現代でも人気の

古来、大雪の年は雪解け水が豊富に出るため、稲作が順調で豊作になるといわれてきた。

また雪を愛めでながら歌を詠むなど、純白の雪は清らかでおめでたい冬の風物とされていたそうで、

余裕の無い私とはずいぶんと時間の流れが違っていたようだ。


 雪の文様は風景を描いた雪景文や、松や南天などに降り積もった様子の雪持ち文などもあるが、

よく目にするのは輪に六つの丸いくぼみが均等に入った雪輪文。

岩や木の根元に残る雪の光景を図案化したもの。

冬のものと思いがちな雪輪文だが、夏の着物や小物などにあしらうことで、

暑い最中にひんやりとした涼感を目に与える粋な役目も。

文=中川ちえ
イラスト=山本祐布子

なかがわ・ちえ●エッセイスト、器と道具の店「inkyo」店主。お店では季節ごとに企画展やイベントを行なっている。12月にはしめ縄づくりのワークショップ、年明けには日本酒のお振る舞いイベントも。中川さんの予定としては、ご近所・浅草へ着物を着込んで初詣へ。詳細は http://in-kyo.net/