自由研究はこれで決まり!JAXAが開発した“ロケットシミュレーション”アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第3回】 〜 守山市立明富中学校 中西 一雄 先生 〜

“水ロケット”の実験をシミュレーションできるアプリ。このアプリは中学校でも使われている。
ノーズコーンの形など5つの条件を設定し、飛行距離を最大化する条件を予想
到達距離、飛行時間、最高高度、最高速度の結果は、カメラロールに保存可能
JAXAのシミュレーション技術を使って開発されたアプリ。信頼性も文句なし
アプリ紹介者の中西先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですること言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、 “学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください!

いよいよ夏休み到来。「今年こそ、わが子の宿題を早めに片付けさせたい!」と思っているお母さんも多いのではないでしょうか。夏休みの宿題で一番の難関といえば、自由研究の課題。夏休みの最終日に親子で四苦八苦……そんな苦い記憶をお持ちのご家庭も少なくないはず。今回はそんな夏休みの自由研究にピッタリのアプリをご紹介します。

体験!水ロケットシミュレーション(無料)

身に付く力:創造力、論理的思考力、探究心

このアプリを推薦してくれたのは、滋賀県の南西部にある守山市立明富中学校の中西一雄先生。明富中学校では理科室に18台のiPadを常備し、理科や道徳などで使用しているそうです。今回ご紹介いただいたアプリは、同校の生徒が使用しているもので、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した水ロケットのシミュレーターです。

中西先生によれば「小学校の理科など『ものづくり』として作ることが多い」“水ロケット”をシミュレーションできるアプリ。水ロケットはペットボトルに水を入れ、空気圧でロケットのように飛ばす理科実験で“ペットボトルロケット”とも言います。

「休み時間、理科室に集まった生徒が互いに話しあいながら、より遠くに飛ばすための条件を見つけています。アプリで試してから、自宅で実物の水ロケットを製作した生徒もいます。小学生はもちろん中学生でも夢中になれるアプリです」と中西先生も絶賛です。それでは、実際に見ていきましょう。
アプリを起動してSTARTボタンを押すと、まず「ノーズコーンの形を選ぼう」という画面が表示されます。ペットボトルの先っぽ、ロケットでいう機首にあたる部分で、「三角」「台形」「丸」の3つから選びます。「ロケットが空気から受ける力が変わるよ」というヒントを見て、もっとも飛行距離を伸ばせそうな形状を予想してみましょう。

続いては「フィン(ハネ)の位置」を選択。ロケットの安定性を考えながら「低い」「真ん中」「高い」の3つから選びます。同じ要領で、「水の量」「発射角度」「空気圧」という残りの条件を設定。5つの条件が揃ったらいよいよ「発射」ボタンをタップ。すると、ランチャー(発射台)から放たれた水ロケットが弧を描いて飛んでいく様子をアニメーションで見ることができます。また、「飛行結果」として、到達距離、飛行時間、最高高度、最高速度が数値で表示されます。
「5つの条件の組み合わせを変えることで飛行距離が変わります。飛行結果を保存することができるので、違う条件の飛行結果を比べられます」(中西先生)。こうしてアプリでシミュレーションをした後に、水ロケットを実際に作ってみるといいですね。作り方はJAXAのサイトで公開されています。

基本型水ロケット - JAXA 宇宙教育センター

夏休みの自由研究のポイントは“試行錯誤”にあります。テーマを決めたら「仮説」を立て「検証」しながら、試行錯誤をすることで科学的アプローチに触れることができるのです。この夏は、親子でそんな理科実験の醍醐味を味わいながら、楽しく自由研究の課題に取り組んでみてはいかがでしょうか。

【紹介者プロフィール】

中西 一雄 先生(守山市立明富中学校)

広島大学卒後、滋賀県守山市公立中学校理科教諭として勤務。2012年より2年間、滋賀大学大学院にて科学教育について研究(教員現職派遣)。2014年より2年間、守山市教育委員会教育研究所にてICT活用に関する研究、合わせて市教育情報化コーディネータ兼ICT支援員を担当。2016年より守山市立明富中学校にてiPadを活用した理科授業を実践中。

【筆者プロフィール】

小池  幸司(教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

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