文様のふ・し・ぎ 48 流水

文様のふ・し・ぎ  流水

生まれ育った実家の近くには利根川の支流が流れている。そのためだろうか、海や湖よりも川のある風景に馴 染(なじ)みがある。いや、馴染みがあるというよりも、川が近くにあることがあたり前で、無いとどうにも落ち着かないのだ。

これまで何度かの引っ越しを繰り返しているが、それを条件にしていたわけでもないのに大抵、近くには川があった。今暮らしている町にも小さな川が町の中心を流れている。家から仕事場へ徒歩で向かうときには、少しまわり道をして、その川沿いの道を歩くのがお気に入りの通勤コース。

セキレイが水浴びをしたり、水を飲むために水辺にやって来たり。最近では小さな魚を見かけるようにもなって、その小魚を目当てに飛来するシラサギの姿も。キラキラと輝く水面(みなも)。美しく豊かな水の流れをながめていると、凝り固まった心の澱(おり)はサラサラと流されて、清々(すがすが)しい風が吹き抜けていく。

文=長谷川ちえ エッセイスト、器と生活道具の店「in-kyo」店主。福島・三春町にある城址(じょうし)へと続く道では、初夏になるとアジサイが見事な景色を見せてくれる。お店や暮らしの様子はInstagram@miharuno.inkyoにて。

イラスト=山本祐布子

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