英会話教室に行かなくても“英語耳”が鍛えられるアプリ

小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第6回】 大阪大学 岩居 弘樹教授

アルファベットを並べて、作った英単語の発音を聞ける。“直感的な操作性”なので使いやすい
発音を確認する「talking Movable Alphabet」と3種類のスペリングクイズがある
動物や色、食べ物といった身近な英単語のリストが多数収録されている
岩居教授の授業ではドイツ語版のアプリ(German Word Wizard)を活用

「ウチにiPadはあるのだけど、ゲームとYouTubeにしか使ってくれなくて……」そんな悩みはありませんか?  せっかく買ったiPad、遊びだけでなく勉強にも使ってほしい!そんなママたちのために、家庭でも使えるイチオシのiPadアプリをご紹介。紹介してくれるのは学校や塾、専門スクールなど、教育現場でiPadを活用した学びに取り組んでいる9人の先生(iTeachers)たち。お子さんが自分から学ぶ姿が見られるようになるかもしれません。 

2020年の東京オリンピックに向けて、英語教育熱が高まり小学生のうちから英語に触れさせるご家庭が増えています。また小学校でも英語を学ぶようになりました。現在5年生以上で学んでいる「外国語活動」が2018年度からは3年生以上へと前倒しに。さらに、小学5・6年生では、算数や国語と同じく「教科化」されることで成績もつくようになるのだとか。

「早めに英語に触れさせたいけど、そもそも自分も英語が苦手で…」「英会話に通わせるほどではないけど、家庭で何かさせたい…」そんな方におすすめなのが、今回ご紹介する「イングリッシュワードウィザード - English Word Wizard」というiPadアプリ。

このアプリを推薦してくれたのは、大阪大学の岩居弘樹教授。アメリカの家庭でもよく使われているアプリだそうで、大学でドイツ語を教える岩居教授は授業でドイツ語版の「ワードウィザード」(German Word Wizard)を活用しています。

「英単語の音声とスペルを覚えられるアプリ。英単語を知りたいと思ったときアルファベットを入力すれば発音を確かめられます。メニューや説明が英語表記なので、はじめはわかりづらいかもしれませんが、親子で一緒にあれやこれやと試してみてください」。アプリから聞こえる英語にはじめは戸惑うかもしれませんが、耳が慣れてくることで少しずつ聞き取れるようになってくるとか。

アプリを起動すると、メインメニューの4つの吹き出しが現れます。

まず試してもらいたいのが「talking Movable Alphabet」のコーナー。アルファベットを並べることで単語の発音を確認できます。画面上に、「a」〜「z」のカードをドラッグして並べていくだけ。例えば、「d」「o」「g」と並べれば“ドッグ”と読み上げてくれます。このアプリがおもしろいのは、単語ができあがる前から発音してくれるところ。「d」(“ドゥ”)→「do」(“ドゥー”)→「dog(“ドッグ”)」という音の変化を聞いているうちに、だんだんとアルファベットと発音の関係が感覚的につかめるようになっていきます。「bag」「cat」「water」「apple」……子供でも知っている身近な英単語を並べて試してみるとおもしろいですよ。

また、数字キー(「z」の右側にある)を押すと数字カードに切り替わります。アルファベットと同じように並べていくだけで、「1」(“one”)→「1」「2」(“twelve”)→「1」「2」「3」(“one hundred and twenty-three”)と、ややこしい数字の読み方もこのアプリがあればバッチリ確認できます。

スペリングクイズもあります。メインメニューの「Word Practice」はスペルクイズの練習コーナーで、並んでいるカードを見ながらスペルを覚えていきます。ある程度、スペルが頭に入ったら「Scrambled Letters」のコーナーへ。「Scrambled Letters」は単語が発音されたあと、カードがシャッフルされてランダムに置かれているので、それを正しく並び替えて単語を作っていくクイズです。そして、最後は「Spelling Quizzes」。発音だけを頼りに、アルファベットカードを並べて英単語を綴っていきます。英語を聞いて、英語で綴るというトレーニング。リスニングとスペリングの両方の力が試されるので、大人がやっても難しいですよ。

日本の英語教育は「読む」「書く」中心から、「聞く」「話す」を加えた4技能型へ。いまの小学生たちはその改革の真っ只中で大学入試を迎え、グローバルな社会に出ていく世代です。まずは、この「ワードウィザード」のようなアプリで、音から英語を学べる環境を用意してあげてはどうでしょうか。そして、「英語を真似て発声する練習をしてみましょう。お子さんの発音が間違っていても、なおさないでくださいね。どんどん発声することが大事ですから」。

【iTeachersプロフィール】

岩居 弘樹 教授

ドイツ語の授業歴25年になる大学教員。学生時代、恩師がドイツ語クラスにビデオカメラを持ち込んだことに刺激をうけ、自分自身でも様々なメディア、ICT 機器を語学教育に導入。2008年にiPod touchを用いた実験授業を始め、2011年からはiPadをベースにしたドイツ語アクティブ・ラーニングを実践。1989年にMacintosh SEと出会って以来のMacユーザー。Apple Distinguished Educator Class of 2013

【筆者プロフィール】

小池  幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。