2003年2月18日

第188回 「貸しはがし」のウソ、ホント

 
 
中田英明 = 文
 
 

「そもそもメガバンク(都銀)にお金を借りたつもりはない。気づいたら、(向こうの看板が)三井住友銀行になっていた(笑)」

 銀行による貸し渋り、貸しはがしの取材の過程で、こんな笑い話に似た会話が交わされた。

 金融庁の特別検査に脅えるメガバンクの貸しはがしが横行していると指摘されている。それを裏付けるように、昨年12月、金融庁が発表したデータによると、2002年9月期でみずほは5兆円余、三井住友(1兆9000億円)、UFJ(8000億円)の中小企業向け融資が減少するなど凄まじい貸しはがしの実態が明らかになった。

 では、実際の「貸しはがし」の現場はどうなっているのか。

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「マスコミが指摘した貸しはがしを受けたケースを冷静に分析してみると、融資を引き上げられてもしょうがない企業が多いですね。今どき赤字の企業の融資を見直さない銀行があるなら、その銀行のほうが異常でしょう」

 あるコンサルタントはこう証言する。マスコミで騒いでいるような貸しはがしはない、実態は違うという。

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 ある地方のゼネコンについて。

「都銀と地銀・信金とには温度差があります。融資をしていた地銀には企業を倒産に追い込んでも資金を回収したいという考えはありませんでした。都銀だったら対応は違ったでしょうね」

 ある企業再建の担当者は自身の経験からこう語る。

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 貸し渋り・貸しはがしについて。

「さすがに一気に融資の引き上げを打診してくることはありません。『リスクに見合った金利』を理由に、金利の引き上げを求めてきたり、担保割れしているので追加担保の提供を求めてくるなど……。銀行が何らかのアクションをしてきたら、すでに行内格付けが下がっていることを経営者自身が自覚しないとダメ。それまでにどう対処していくか戦略を立てていかないといけない」

 ある経営者は証言する。

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 東京中小企業家同友会の昨年7月の調査では、会員企業の19%が融資を受けている金融機関から金利の引き上げを求められていることがわかった。昨年12月の追加調査では34%以上に上昇していた。金利引き上げに応じない場合は、「今までの融資はストップ」「整理回収機構(RCC)送り」「法的手段に訴える」「全額回収」など脅しに近い形で金利引き上げを強要している実態が明らかになった。

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 銀行に問題があるのは確か。しかし、経営者に問題はなかったか。「中小企業の多くはバブル時代の相続税でダメになったか、相続税対策で自社ビルを建設してバブル崩壊によってダメになってしまっている。テナント収入に依存しようとした、経営に甘えはなかったか……」

 ある経営者は自省する。

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 債務免除(債権放棄)など期待ができない中小企業。それでも頑張れと、エールを送りたい。

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