新 手仕事ニッポン6

「山中漆器」 のモッチュ (石川県・加賀市)

 

 街ベビーカーとすれうたびにぼんやりとっていたことがある。小さな大事そうにっている玩具をやるとそのほとんどがカラフルなプラスティック製。やわらかいちゃんの皮膚その硬質素材感少々冷たくじていたそんなとき、加賀わる山中漆器モッチュ出会った

 中央いている市販子供用ストローをめば、乳児のみならず幼児みもの補助具になる。形しさはもちろんのことあらゆる子供用ストローの規格対応できるように木地すには精巧さをするそうでそれには轆轤(ろくろ)にけた木地回転させながら(かんな)で轆轤挽(び)きという技術かせないそしてこの職人技こそ、山中漆器真骨頂いた

 なだらかなフォルムに沿わせるとなんだかほっとするような、大人でもれぬ安心感まれる。桜木地、漆幾重にもむことでまれるつややかでしっとりとした質感、赤ちゃんの肌合いそのものだ。口めばおのずと漆器体温わって、気持ちがよいだろうなあと、小さいひとの気持ちになって使心地想像した

 ふと「肌理こまかいという言葉があたまにかぶ。肌理はものの表面あや、木理(木目)ともこまかいという言葉えることで、物事への〝心くばりしても使われるそんなしい日本語世界このさな道具にはまっている

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「山中漆器のモッチュ」

越前の国から山を越え、加賀市の山中温泉上流に移り住んだ職人によって伝えつくられてきた山中漆器が得意とするのは、挽物木地師とよばれる職人が、轆轤挽きでつくる椀(わん)などの丸物木地に、漆を何層にも摺り込んで仕上げる「拭き漆」の技法。木目がうっすらと見える仕上がりのため、木肌をきれいに仕上げる技術が求められ、石川県の3大漆器産地の中で、「塗りの輪島」「蒔絵(まきえ)の金沢」と並んで、「木地の山中」と称される由縁はここにある。桜の木地に漆をほどこした「モッチュ」は全6色で各3780円。「大島東太郎商店」http://crafts-oshima.co.jp/

 

文、セレクト=つるやももこ 撮影=尾嶝 太

 

つるや・ももこ 旅・道具・暮らしと人をテーマに取材・執筆を行なう。現在、福岡の障害者福祉作業所を不定期に訪ね、取材中。絵や彫刻など思い思いの創作に打ち込む彼らから刺激を受けています。