これからは「書く力」が大事! 毎日、名文が読める「新聞コラム」アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第11回】 〜小金井市立前原小学校 松田 孝 先生〜

日々更新される新聞コラムを「縦書き」で読むことができるアプリ
担当記者はプロ中のプロ。新聞コラムは短い中にも気づきが得られる名文揃い
全国紙から地方紙まで40紙以上に対応。地方紙にはユニークなコラム名も多い
標準の辞書機能・読み上げ機能を使えば、知らない言葉の読みや意味も確認できる
プログラミング教育先進校として注目を集める前原小学校の公開授業 (2017.2.7)
アプリ紹介者の松田先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

「活字離れ」という言葉をよく耳にします。小学生は活字離れにストップがかかったという調査もありますが、大学生を対象にしたある調査で、1年間に何冊の本を読むかを聞いたところ、もっとも回答が多かったのは「0冊」。実に3割以上の学生がまったく本を読まないと回答したそうです。一方で、「70冊以上」と回答した学生も7〜8%(3位)いることから、いまの大学生は、「本を読む人」と「本を読まない人」に2極化していることがわかります。親の立場からすると、やはり「わが子には本を読む子に育ってほしい…」と思いますよね。今回は、子供が活字に触れる習慣をつけるのに最適なアプリのご紹介です。


たて書きコラム (無料)

身に付く力:読解力、想像力、作文力、社会への興味・関心

このアプリを推薦してくれたのは、東京都小金井市立前原小学校の校長・松田孝先生。松田先生は2016年4月に校長先生として同校に着任するとともに、タブレット端末をはじめとするICT活用を開始。また、2020年度から必修化されるプログラミング教育を他の公立小学校に先駆けて積極的に推進しています。着任してから1年足らずで前原小学校を日本一有名な「プログラミング教育先進校」へと導いた異色の校長先生です。

そんな松田先生がおすすめする「たて書きコラム」は、全国の新聞社のコラムを表示することができるというシンプルなアプリ。現在は、日本経済新聞と産經新聞の全国紙2紙、東京新聞などのブロック紙5紙、そして全国40の地方紙のコラムを毎日手軽に読むことができます。中でも地方紙は、北海道の名寄新聞の「閑古鳥」、千葉日報の「忙人寸語」、沖縄の八重山毎日新聞の「不連続線」など、ユニークなコラム名が多く見られます。「全国紙や地方紙など、いろいろなコラムがあって、そのコラム名もおもしろいものばかり。地域特有の内容が日替わりで掲載される点も興味をそそられます」と松田先生は言います。

小学校高学年の子供にとって新聞のコラムは最高の文章の教材だと松田先生は考えています。「昔からコラムはその新聞社でもっとも文章力のある記者が執筆するといわれています。構成のしっかりとした文章を読み解く力を付けるには最良なのです」(松田先生)。教師になりたての頃から、小学校高学年の担任になると、気になる新聞のコラムを子供たちに読ませてきたそうです。また夏休みには各家庭でとっている新聞のコラムを書き写す(視写)宿題も出してきたとか。

「句読点の付け方や一文の長さ、そして段落分けの仕方など、コラムの視写は子供に読む力と書く力を付けさせる最高の学習方法なんですよ。それがアプリで簡単にできる時代、これを使わない手はありません」(松田先生)。これまでの指導経験から、学力アップの効果は実証済み。2016年度からは、前原小学校でもこのアプリを使って、“読む活動”を取り入れていく予定だそうです。

YouTubeやアニメ、漫画やゲームなど、子供たちの周りには想像力を働かせなくても楽しめるメディアで溢れています。そんな中、活字を読む習慣をつけるためには、質の高い文章にたくさん触れることが大切です。そして文章を読む楽しさに気づくことができれば、子供は自ら本を手にとるようになります。iPadアプリを使った「新聞コラム学習法」、前原小学校の子供たちと一緒に、この春からご家庭でも始めてみてはいかがでしょうか。

【紹介者プロフィール】

松田 孝 先生(小金井市立前原小学校)

東京学芸大学教育学部卒、上越教育大学大学院修士課程修了、東京都公立小学校教諭、指導主事、主任指導主事(狛江市教育委員会指導室長)、多摩市立東愛宕小学校(現、愛和小学校)を経て、2016年4月から小金井市立前原小学校に着任。タブレット端末等を積極的に活用して、“Amazingな授業を創造するCrazyな公立小学校を創る野望”を抱いている。現在はプログラミング授業100時間で、第4次産業革命に真に対応できる「授業実践革命」を引き起こすべく奮闘中。

【筆者プロフィール】

小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。