スポーツで大活躍! 動きをスローで確認できる「運動上達アプリ」

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第9回】 〜大阪府立東大阪支援学校 日置晋平 先生〜

ダンスやスポーツなど2つの動画を並べてフォームを比較できるアプリ
撮って比べるシンプルなアプリだから工夫しだいで活用シーンはいろいろ
気づいた点はペイント機能で書き込み。速度調整でスロー再生もできる
画面の中に入り込んでボールを壊すアプリ「BallStrike」もおすすめ
アプリ紹介者の日置先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください!

 公園や広場に集まって携帯ゲーム機で遊んでいる小学生たち。「わたしが子供の頃はもっと走り回って遊んでいたのに…」なんて思ったことはありませんか。1日のスマートフォンの利用時間が長い子ほど、体力・運動能力が低い傾向にあるという調査結果もあるそうです。でも、昔と比べて子供たちが外で遊べる環境がなくなってきているのも事実。だったら発想を転換して、iPadで身体を動かしてみるというのはいかがでしょうか。今回は、体を動かす練習などで大活躍する“運動系アプリ”のご紹介です。

□  見比べレッスン(720円)

身に付く力:体力、課題解決力、メタ認知能力

このアプリを推薦してくれたのは、大阪府立東大阪支援学校の日置晋平先生。同校には合計24台のiPadやWindows PCが配備されていて、児童生徒や先生が共有で使っているとのこと。また校内にはWi-Fi環境も整備されていて、障害のある児童の支援や、教育活動のために、ICTが積極的に活用されているそうです。

体の動きを撮影した動画を、2つ同時に再生して見比べられることが最大のポイント。「このアプリは、体の動きを画面に映し出してチェックすることができます。自分の動きを客観的に見つめ直すことで、上達につながるんですよ!スポーツのフォームやダンスの振り付けなどのチェックにも活用できます。2つの動画を同時に見比べられるので、お手本と自分、自分の調子のいいときと悪いときなどを比較できます」(日置先生)。野球やサッカーなどの球技、ダンスや武道など、身体を動かす習い事をしている子にも特におすすめとのこと。まるでプロスポーツ選手のトレーニングのように分析できるわけです。運動会前、徒競走の練習にも使えそうです。

 操作はとっても簡単。まずは「動画撮影」からiPadのカメラを使って動画を撮影します。すると「ファイル一覧」画面に動画が保存されますので、比較したい2つの動画を選択して「開く」をタップしましょう。動画はカメラロールに保存されているものから選択することもできます。

 比較画面が表示されたら「同時再生」ボタンを押して、動きの違いをチェックします。再生のタイミングを調整する「マーカー機能」や、再生速度を調整してスロー再生する機能もあり、細かい分析ができます。気づいた箇所に書き込みができる「ペイント機能」もあって、気になった点を画面上でチェックすることも可能です。

見比べレッスンの公式サイトには、テニスや柔道、器械体操などさまざまなスポーツでの活用事例が紹介されていますので参考にしてみてください。

見比べレッスン|撮って比べる体育向けツールアプリ

「いやあ、ウチの子は習い事もしていないし、そもそも外に出ないので…」というインドア系のお子さんのために、今回は日置先生にもう1つ、運動系のおすすめアプリを教えていただきました。

BallStrike(無料※一部アプリ内に課金制度あり)

こちらの「BallStrike」は自分自身が画面の中に入り込んで、画面に表示されたボールを壊していくアプリ。iPadを立てて置き、カメラ機能をオンにして画面の前に立つと、自身の身体が画面に現れます。音楽に合わせて画面に表示されるボールを壊すように手足を動かしていくゲームなので、自然と身体を動かせます。これなら、スポーツが苦手な子でもゲーム感覚で楽しみながら運動することができそうですね。

「このゲームにハマってやり続けるのでは……と不安になる親御さんもいるかもしれませんが、心配はありません。15分もやるとヘトヘトになるからです!」と日置先生が言うように結構ハードな運動になります。「そういえば、わたしも最近運動不足かも」というお母さんのエクササイズにもぴったり。お子さんの体力づくりとお母さん自身の美容と健康のためにも、ぜひ親子で一緒にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

  【紹介者プロフィール】

日置晋平 先生(大阪府立東大阪支援学校)

京都府、京都市の中学校の美術、京都市立総合養護学校の講師を経て、平成19年より大阪府立の支援学校に勤務。現在は大阪府立東大阪支援学校にて小学部2年生の担任として重度重複の障害がある児童の支援を行う。また、地域支援コーディネーターとして、東大阪市を中心に地域の小中学校の相談支援や、校内研修での講師を行っている。

 【筆者プロフィール】

小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

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