雙葉では“憧れの先輩の靴ひもをもらう”伝統があるんですよ

【有名中高一貫校OB・OGインタビュー】雙葉編

「中高一貫校に入学後の学校の様子が知りたい」という読者の声に答えて、有名中高一貫校の卒業生に中高の話を聞くコーナーです。第6回は東京都の四谷にある雙葉のOGの話です。首都圏の女子校の中で、桜蔭、女子学院と並び“女子御三家”と呼ばれる雙葉中高。同校に中学受験を経て入学したOGのFさんに話を伺いました。2012年3月卒業で現在、国立大学の4年生です。

――生徒の雰囲気はどんな感じでしたか。挨拶は「ごきげんよう」ですか?

特別な挨拶はありませんでした(笑)。以前はシスターが校長先生も兼ねていたので、「校長様」と呼んでいましたが、今はシスターではない方が校長先生になので、校長先生と呼んでいるみたいです。

雙葉はイメージとしてお嬢様が多いと思われているかもしれませんが、華美な子はほとんどいなくて、マイペースな子が多かったです。大学に入ってから、ほかの学校と自分の学校を比べてみて思うのが、雙葉はおっとりしている子が多いということ。一言で表すと“温室”、“安全”とか“シェルター”という言葉が思い浮かびます。小学生のときに文化祭に見学に行った時も先輩がたが優しいなって思いました。女子御三家の中で、桜蔭はキャリア志向の子が多い気がします。女子学院の子はしいて言うなら不思議な子が多いイメージ。いろいろなタイプの子がいてひとくくりにできない感じです。

――女子御三家を象徴する言葉として「道端で空き缶を見つけたら、桜蔭の子は本に夢中で気がつかない、女子学院の子は缶で遊び出す、雙葉の子は拾ってゴミ箱に捨てる」って言われているようですが……。

実際はそんなにしつけのよい子ばかりでないです(笑)。掃除の時間はいちおうエプロンか体操着に着替えることになっているのですが、上級生になるに連れて着替えなくなって、教室を丸く履いて終わりみたいな感じですね。粗雑でないけれど、素直で飾らない子が多いです。平気で変顔したりするから、女子力も低いかも(笑)。

ほかの2校と違うのは、雙葉には小学校があるので、中学受験してきた子ばかりではないということです。小学校では英語の授業をやっているので生徒の英語のレベルが高いから、中1のときは小学校からの子と中学から入ってきた子でクラスが分かれます。中2から混合のクラスになり、垣根もなく仲良くなります。そういけば、宝塚歌劇団に進む子が2年に1人くらいいるのも特徴の一つです。

――雙葉中高は雑誌取材などを受けることが少なく情報があまりないのですが、実際はどんな学校ですか?

外部との接触はほとんどないですね。まず授業参観がありませんから、父母も学校でどんな授業をしているのかは直接見ることはありません。授業の様子の取材もないです。生徒も取材を受けるのは禁止です。

あと他校の生徒との交流のようなイベントもありません。部活動の大会もあまり出ていない気がします。ほかの学校だと、部活動の大会で優秀な成績をおさめたら、横断幕に書いて学校に貼ったりするらしいですが、うちの学校はそういうことを見たことがありません。外部との交流がない理由は、はっきりとはわからないのですが、生徒を守ろうという意味があるのかもしれません。

生徒に競争させることも少ないです。定期テストはありますが、成績の順位は発表されません。平均点も公表する先生もいますが、しない先生もいます。成績がすごく悪い場合は呼び出されるらしいですが、呼び出されなければ、自分の相対的な成績はわかりませんね。進路指導もほとんどありません。一応、進路指導室はありオープンキャンパス情報とかもあるようですが、私はほとんど利用しませんでした。あまり生徒にアピールしていない感じです。大学受験の勉強も学校側の進学指導はほとんどなく、生徒それぞれが進める感じなので、私は高1のときから予備校に通っていました。進学先はいろいろですが、医学部に進む子は多かったです。

――盛り上がるイベントってあるのかな?

文化祭と体育祭ですかね。以前は、制服と学生証があれば誰でも入れたようですが、今はチケットがないと入れないようです。うちの学校にしかない部活動に「笑う会」というのがあって、その部活が作る冊子が面白いですよ。面白い四コマ漫画とか書いてあります。あと「笑う会」の展示も面白いです!

生徒は部活動に入らないといけないので、私は天文班に入っていました。文化祭で、天文班は手作りでプラネタリウムを作るんです。東急ハンズでプラスチックの半円を買ってきて、自分たちで電気ドリルで穴を開けたりして。結構評判がよくて、文化祭のあとの人気投票では研究部門で優勝することが多かったです。

――人気の部活は? 雙葉ならでは、の伝統ってありますか?

部活では運動系ではバレーやバスケ部が人気でした。文化系では音楽部と演劇部。音楽部とか演劇部は、文化祭の発表会でも人気でした。あと聖歌隊もありましたね。

雙葉ならではのことといえば……、上履きの靴ひもと体育の授業に使うハチマキを好きな先輩からもらうことです。靴ひもとハチマキの色が、1年生は赤、2年生はピンク、3年生は緑……と決められているんですが、結びつきが強いバレーやバスケ部や音楽部の子を中心に個人的に好きな先輩のモノをもらいに行くという習慣がありました。

靴ひもは学年が変わるたびに学校からもらえるんですが、わざわざ先輩が使い古したものをもらうんです。好きな先輩というのはもちろん女子の先輩。憧れの人という感じです。

あとは体育祭のときに、高校3年生は“花の歌”という名物踊りをするのですが、そのときにピンクの花を手に持って踊るんです。その花を後輩に渡さなかった人は浪人するっていうジンクスがあるので、靴ひもやハチマキと違って、先輩が花を後輩に渡すっていう感じでした。

部活の上下関係は結構しっかりしていて、校内でも先輩とすれ違うときは後輩が挨拶をきちんとしていました。文化祭が終わった後は、1年生は先輩全員にお礼状の手紙を書く習慣のある部活動もあって、間に合わない子は授業中に内職したり(笑)。一部の運動系の部活では、合宿のときに先輩から中1が説教されたりすることも。先生はほとんどタッチしません。学校側が優しい分、生徒の先輩後輩で鍛えられるところはあります。

――特徴的な授業はありましたか?

ダンスですね。国語、数学、理科、社会、体育などと並んでダンスっていう教科が毎週1時間あるんです。いろいろな種類のダンスをします。扇子を持って踊る日本舞踊のようなものやヒップホップのようなものまで。なぜか卓球もダンスの時間にしていたのは謎でしたね。

 

「もし将来、女の子が生まれたら、雙葉に入れたいです」と言い切ったFさん。居心地がすごくよかったそうです。のびのびとした学校生活が送れそうですね。冬服は紺色に、えんじ色の線が入ったセーラー服に黒いタイツ、夏服は白いセーター服に白いソックスと、制服がかわいいこともポイントとか。

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