お金は最高の算数教材!? 買い物が得意になる「お支払い」アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第8回】 〜茨城県立勝田特別支援学校 藤田武士 先生〜

本物の硬貨をいじっている感覚で手を動かしながら学べる暗算アプリ
合計金額が問題の金額とピッタリ合うように硬貨を並べよう
硬貨を整理して並べる機能やiPadを手前に傾けると元に戻る機能も

散らばった硬貨の合計金額を答える姉妹アプリ「お金の学習2」も

アプリ紹介者の藤田先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

いよいよ2016年も残りあとわずか。新年を迎える準備はいかがですか? お正月の子供たちの楽しみといえば「お年玉」ですが、親にとっては「いくらあげたらいいの?」と悩ましい部分でもあります。あるご家庭では、小学1年生のお子さんに硬貨の種類を教えたいと、500円、100円、50円、10円、5円、1円をそれぞれ一枚ずつで666円のお年玉をあげたそうです。“硬貨の詰め合わせ”というアイデア、なかなかおもしろいですね。今回は、買い物のとき「お金の支払い方」を学べるアプリのご紹介です。

お金の学習(無料)

身に付く力:暗算力、集中力、巧緻性

こちらのアプリを推薦してくれたのは、茨城県立勝田特別支援学校の藤田武士先生。同校には、主に知的に障害のある児童生徒が通っており、藤田先生は、算数や国語といった教科の学習はもちろん、コミュニケーションや日常生活の向上のために、ふだんから積極的にiPadを活用しています。今回のおすすめも授業の中で実際に使っているアプリ。小学校低学年の子や幼稚園児、保育園児などお金に興味を持ち始めた子から遊べます。

藤田先生によると、おすすめの理由は「『お金の学習』は、指示された金額に100円玉、10円玉といった硬貨を用意するアプリです。お店で買い物をしているのと同じ感覚で、お金の支払い方が身につく」ということです。

問題は難易度別に11段階。レベル1では「1円玉」のみ、レベル4では「10円玉+1円玉」、レベル7では「100円玉+10円玉+1円玉」と少しずつレベルが上がっていき、レベル11ではすべての硬貨を使う問題が用意されています。

「405円」などと金額が表示されたら、その金額ピッタリになるように、画面下部にある硬貨を中央にドラッグして並べていきます。[できた!]をタップして、正解ならば次の問題へ、まちがっていたら、「おおいよ!!」「たりないよ!!」というヒントが出てくるので、正しい金額になるよう修正しましょう。さらに「ならべる」ボタンを押すと、無造作にドラッグした硬貨を整列させてくれます。きれいにドラッグするのが難しい子は、このボタンを使うと便利です。

実際にやってみると、本物の硬貨をいじっているように使いやすい。また、2本指や両手を使って同時に複数枚の硬貨を動かすこともできますし、iPadを手前に傾けるとすべての硬貨を画面下部に戻す機能も。時間制限や得点機能はありませんが、慣れてきたらスピードを意識して進めていくと、ゲーム感覚で楽しめます。

さらに、硬貨の合計金額を当てる「お金の学習2」もおすすめ。

□ お金の学習2(無料

藤田先生によると「お金の学習2は、バラバラに散りばめられたお金がいくらあるかを答えるアプリです。硬貨を置く場所が金額の位ごとに色分けされており、100円玉、10円玉、1円玉など硬貨を種類によって並べられ、何百何十何円を視覚的に整理して理解することができる」そうです。操作方法は似ていますので、ぜひセットで学習してみてください。

「お金」は生活必需品ですが、数を学ぶための最も身近な教材の1つでもあります。お金の計算が速く正確にできるようになれば、実生活で役立つのはもちろん、計算力・暗算力の土台となります。数字の計算は苦手だけれど、お金の計算になると俄然やる気が出る子もいますね。手を動かしますので大人にとっても、脳のトレーニングにぴったり。2017年のお正月休みは、おじいちゃん、おばあちゃんもまじえて、親子三代で「お金の学習」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【紹介者プロフィール】

藤田武士 先生(茨城県立勝田特別支援学校)

平成8年に茨城県立下妻養護学校の実習助手に19歳で採用。その後、平成16年に県立結城養護学校に教諭として採用。平成18年には、通信教育で明星大学を卒業。平成20年に県立勝田特別支援学校に赴任。実習助手時代からICT機器を有効に活用した授業実践に取り組んできた。タブレット端末の学習活動での活用だけではなく、コミュニケーションや日常生活における活用にも取り組んでいる。

【筆者プロフィール】

小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

 □ iTeachers TV 〜教育ICTの実践者たち〜

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。