船に荷物を積んで「数字のセンス」が身につく新感覚★計算アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【第2回】 〜 桜丘中学・高等学校 品田 健 先生 〜

積み木感覚で楽しみながら数のセンスが身につけられる計算アプリ
世界の港をモチーフにした各ステージ。ゆったりした気分で数と親しめる
「数える」「分解」「5に基づく計算」など段階的に量と数の関連性が学べる
ステージ後半では数のイメージを組み合わせて解く難易度の高い問題も出題
アプリ紹介者の品田先生(左)と本連載著者の小池氏(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですること言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。iPadが “学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

数字に強い人、弱い人。社会人として働くようになると、さまざまなシーンで「数字力」が問われます。数字に強い子に育てるためにはどうしたらいいのでしょうか。今回はそんな悩みに答えるとっておきのアプリです。低学年のお子さんがいるご家庭では必見です。

Fiete Math(¥480)

身に付く力:数字力、集中力、思考力

このアプリを推薦してくれたのは、桜丘中学・高等学校の品田健先生。東京都北区にある私立中高一貫校の桜丘中学・高等学校では、2014年度から中学1年生と高校1年生に生徒1人1台のiPad導入。3年目となる2016年度には全学年にiPadが配備され、授業はもちろん、部活動や学校行事の中でも積極的に活用されています。品田先生曰く、iPadが「生徒の創造性を引き出すツール」になっているのだとか。

そんな品田先生に、このアプリを選んだ理由を聞くと「例えば『5』という数を1+1+1+1+1と考えるか、2+1+2と考えるか。数のイメージを視覚化しながら理解することができるんです。ブロックを組み上げて数を作っていくことで、“数字の結合・分解”が楽しく進められるところがおすすめです。算数・数学ではイメージ化できるかどうかが大事なのです」とのこと。“数のイメージを視覚化する”とはいったいどういうことなのでしょうか。それでは実際にアプリを見ていきましょう。

「Fiete Math」の舞台となるのは港。そこにやってくる船に、荷物を積み込むのがプレーヤーの役割です。実際の世界の港をモチーフにしたという港の背景や登場するキャラクター、ムードのあるBGMがのんびりした世界観を演出。制限時間や得点はなく、子供が落ち着いて「数」に親しめるよう工夫されています。

ルールはいたってシンプルで、「船の上に表示される数に合わせた荷物を積む」こと、「荷物は港で作って一度で乗せる」ことの2つだけ。船に積み込むための積み荷は港に置かれた荷物を“結合”したり“分解”したりして作りますが、すべてを使い切る必要はありません。また荷物の組み方も自由で、3個の積み荷を作るのであれば、タテに3つ積んでも、ヨコに3つ並べても、さらにはL字型に組んでもOKです。この自由度の高さがポイントで、子供にとっては、積み木で遊ぶ感覚で「数」の組み合わせを体験的に学んでいくことができます。

また、ステージの構成が緩やかに設計されているのも特徴。問題は全部で1000問以上が用意されていますが、単純に数(船の大きさ)が大きくなるだけでなく、「数える」→「分解」→「5に基づく計算」→「計算方法」→「足し算」→「引き算」→「自由計算問題」と徐々にステップアップ。誰かに教わることなく進められる上、量と数の関連性を自然と身につけていくことができます。

最初のほうのステージでは「こんなの簡単」と言っていた子も、ステージが進んで、あらかじめ船にいくつかの積み荷が置いてあったり、分解できない荷物があらわれたりする内に、だんだんと本気で頭を使うようになっていくわけです。低学年向けに作られたアプリですが、高学年のお子さんや大人にとっても頭の体操として十分に楽しめます。

私たちが小学生の頃、習い事の定番と言えば“そろばん”でした。もちろん当時から電卓はありましたから、“そろばん”自体を使えるようになることが目的ではなく、頭の中で計算するイメージを学ぶために通っていたわけです。実際、小学生ながらに大人顔負けの計算力を誇る小学生もたくさんいました。そういう意味では、「Fiete Math」は“現代のそろばん”と言えるアプリかもしれません。手を動かしながら、積み木感覚で学べる新感覚の計算アプリ。わが子を「数字に強い子」に育てる一助として、ぜひ活用してみてください。

【紹介者プロフィール】

品田 健 先生(桜丘中学・高等学校)

桜丘中学・高等学校 次世代教育開発担当参与・常勤理事。東京学芸大学卒。桜丘女子高等学校(当時)へ国語科教諭として入校。現在は次世代教育開発担当参与として,学校でのiPad活用を中心となって推進中。

【筆者プロフィール】

小池  幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

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