<第三回>

芸能人/パティシエ

 
 

BOYS RANKING:8

芸能人(Entertainer)

「誰にでも可能性はある」とされるが、実際にスターになるのはほんの一握り。
人気の維持にも非凡な努力が必要。

「スターになれる可能性は誰にもあります。一方で、100%スターになれるという人はどこにもいません」。芸能プロダク ション大手・ホリプロ傘下の才能養成学校、ホリプロインプルーブメント・アカデミー(H・I・A)の山田滋敏校長は、芸能人の特性をそう語る。こうすれば 必ずスターになれるという確たる道も、また存在しない。

 現在、日本タレント名鑑に収録されている「芸能人」は約1万人。だが実は、このうち芸能活動を生業としているのはごく一部にすぎない。山田氏はスターの目安として「年商1億円」を挙げるが、これを達成できるのはごく一握り。年収1万円以下などの話も珍しくない。  現在芸能界ではプロダクション制が取られており、仕事の依頼も芸能事務所を通して行われる。所属方法には、街頭スカウト、オーディション、劇団やタレント養成所経由などがある。
 なかでも王道は、大手プロダクション主催のオーディションへの合格だ。とはいえ、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を例にとると、数万人の応募者に対しグランプリはわずか一人。最近はアイドルの低年齢化が進み、グランプリは小学生から中学生が中心だという。  お笑いの世界では、師匠に弟子入りして修業する例が多かったが、最近では養成学校出身者も増えてきた。もっとも、こちらも成功者はごく一握りだ。
 声優では養成学校や劇団に入り、番組ごとのオーディションに合格してデビューする例が多い。演技力に加えタレント的素養が求められるが、若手重視の傾向にあり競争は熾烈。収入面も恵まれているとはいえない。

必ずスターに
なれるような道は
存在しない。

事務所との契約後は、一定の訓練期間を経てデビューとなる。歌やダンスなど表現力を高めるレッスンが中心だ。
 そして、スターが演じる人気ドラマも、大半は普通の人々の普通の世界が舞台。俳優として成功するには、日常生活をしっかりと送ることや、人間観察なども重要になる。

 成功後は事務所を離れ、個人事務所を構える例もあるが、人気を持続するのは大変。自らを客観視する力や、自分の生き方に合った仕事選びが欠かせない。
 多メディア化の進展とともに、求められるスター像も多様化している。国民的スターが出にくい反面、細分化された個々の市場ニーズが増えるなど、チャンスが拡大する傾向もある。  さらに、芸能活動やレッスンで得られる出会い、表現能力の向上などは、学校生活や会社勤めにも役立つ。H・I・Aでは小・中学生中心のレッスンを行っているが、これも才能養成に加え、子供の可能性を引き出すという意味合いが大きいという。
 逆に、実社会での活動を通じて「タレント性」が向上することもある。「今後は35歳以上を対象に、カリスマ主婦や、社会で揉まれて『いい顔』を身につけた男性を発掘するクラスを予定しています」(山田氏)。  まずは日々をきちんと生きること。スターへの道は、そこから始まるのかもしれない。

芸能人への道

小野憲史=構成

 

GIRLS RANKING:8

パティシエ(Patissier)

「街のケーキ屋さん」から世界に通用する専門職へ。
結婚式場やホテルなど、働く場も多様。

日本では長い間、ケーキといえば街のケーキ屋さんで購入するもので、ケーキ作りを生業とする人々は「ケーキ職人」と呼ばれてきた。しかしここ数年、高い技術を持つ専門職として「パティシエ」という呼び名が定着している。
 その背景として考えられるのが、本場フランスでの修業経験をもつ職人が増えたこと。1990年代の後半ごろから、フランス仕込みのケーキを作る多くの日本人パティシエが全国で活躍するようになった。

 パティシエになるには、調理師学校の製菓部門や製菓学校などに通い、個人経営の専門店(パティスリー)に就職するのが一般的。大手校の中には海外 に姉妹校を持つなど、留学制度が整備されている例もある。他に大手洋菓子チェーンやホテル、結婚式場、レストランの製菓部門などへの就職例も多い。
 就職後は洗い物や流し場などから始まり、徐々に生地作成、焼き物、仕上げなどの工程を習得しながら一人前になるのが普通だが、店舗や会社の規模によって過程はさまざま。最終的には独立して店を構える例と、企業内で昇進する例がある。
 スキルアップのために他店に転職といった、横の移動も激しい。特に必要な資格はないが、製菓衛生師試験、製菓製造技能検定という資格試験があり、一つの目安になっている。

年収や労働条件は、ホテルや結婚式場などでは一般企業とほぼ同等。個人店では初任給が低い傾向にあり(有名店で初任給13万円という例もある)、労働条件もさまざまだ。独立までの年数も多様で、5年程度で開店する例もあれば、10年以上職人として技術を磨く例もある。
 独立開店後の収入も、地域密着型なのか有名デパートに商品を供給するのかなど、その店の方針で大きく異なってくる。年商1億円が一つの目安ともいわれるが、一般論として品質向上をめざせば原価率を上げざるを得ず、利益率の低下は避けられないようだ。

センスに体力、
毎日同じ作業を
続ける根気も重要。

 華やかなイメージの一方では肉体労働的な側面もあり、有名パティシエはほとんど男性。一方で機械化が進んだことから、女性の進出も増えてきた。製菓学校ではここ数年、女子生徒の割合が急増しており、今では7割以上を占める。
 専門誌カフェ・スイーツの村山知子編集長は、「成功するにはセンスと情熱に加えて体力が必須。また毎日同じ作業を続けられる根気も重要です」と語る。

 最近では都市部に加えて地方での開店例も増加しており、インターネット通販の例も増えている。「個人店を持つようなパティシエは、みんなオリジナルの『お菓子』を作ることが目標」(村山氏)ゆえ、地方特産の食材が取り入れられる例も多い。
 本場フランスに比べれば、日本の洋菓子文化はまだまだ発展途上。はっきりした統計はないが、有名パティスリーの数は全国でも百数十店程度といわれ、向こう数年は拡大傾向が見込まれている。

パティシエへの道

小野憲史=構成

 
 
プレジデントファミリー公式twitterアカウント

メールマガジン
<プレジデントファミリー通信>

 
 

「プレジデントファミリー通信」では、毎月2回、当月号の内容とともに、編集部員が取材の中で感じたことや、誌面に載せられなかった裏話、パパ編集長の日常などを毎月2回配信します。

メールマガジン申込・登録変更