三角形の面積の求め方は小学校で習う。だが、2021年の全国学力テストで出題されたある問題の小6の正答率は55.4%だった。東京学芸大学附属小金井小学校教諭でリクルート「スタディサプリ」算数担当の加固希支男さんは「図形のセンスが身につけば、さまざまな問題解決に必要な情報を見つける力がつき、将来社会に出て仕事をするときにも、大いに役に立つセンスになる」という――。

※本稿は、『プレジデントFamily2022年冬号』の一部を再編集したものです。

教育界に衝撃、小6に出題「三角形の面積」正答率はわずか55%

算数の中では「図形が苦手」という声をよく聞きますが、実は「図形、大好き!」という子供も結構います。小学校の算数で扱う「図形」のほとんどは、基本的には「見てわかる」内容です。立体や展開図になると、「見えない部分」も含まれてきますが、それでも具体物を使った学習が多いので、授業そのものは「楽しい」し「好き」なのですが、テストになると「苦手」と感じてしまう。

2021年、算数教育界に激震が走りました。「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)小学校6年算数」で出題された三角形の面積を求める問題(図表1参照)の正答率がわずか「55.4%」という低さだったからです。

正答できなかった子供の多くは、この問題を解くために必要な「底辺と高さ」がどこにあるかを見つけられなかったようです。確かにこの問題では、よくある練習問題のように、「底辺が下」の向きに三角形が描かれていません。それにしても、です(6年生が受けています)。

図形の問題は、そこに示された図を、頭の中で回転させたり、裏返したり、場合によってはいくつかに切り分けたりすることによって、解き方が見えてきます。問題を解決するための情報をいかに見つけられるか、ということです(先の三角形の問題ならば、底辺と高さを見つけられる力です)。

頭の中で図形を自由に操作できること……それが「図形のセンス」だと思います。

このセンスを磨くためには、いろいろな図形に触れて、実際に手を動かしてみることが一番です。「ここで切ったらどんな形になるだろう」「裏から見たらどう見えるかな」とやっているうちに、実際に動かさなくても、頭の中で自然と図形が動き始めます。折り紙やシルエット遊び、タングラムなど、ちょっとしたゲームや工作を楽しんでいるうちに、自然と身についていきます。

遊び方の例を次から紹介します。親子で一緒に楽しんだり、時には子供が出した問題に親が答えたりするというのもいいと思います。

図形のセンスが身につけば、問題解決に必要な情報を見つける力がついてきます。これは、算数の文章題をはじめ、さまざまな問題解決に役立ちます。将来社会に出て仕事をするときにも、大いに役に立つ「センス」になると思います。

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