姉妹は、現役の慶應義塾大学医学部生であり、国内外のコンクールで入賞したバイオリニストでもある。2人とも、「親に『練習しなさい、勉強しなさい』と言われたことがない」と口をそろえる。幼児教室講師などを務めている母親の小林聖子さんは、娘たちにどんな子育てを実践したのか——。

※本稿は、『プレジデントBaby 0歳からの知育大百科2020』の一部を再編集したものです。

母親の小林聖子さんと2人の娘、香音さんと絵美里さん
撮影=遠藤素子

慶應医学部5年生と2年生の姉妹はバイオリニスト。母の子育て法とは

クラシック音楽が静かに流れるリビング。アンティークの食器棚には、さまざまなトロフィーや盾が並ぶ。幼少期から国内外のバイオリンコンクールで数々の賞を受賞してきた小林姉妹の足跡だ。

現在は二人ともバイオリニストとして、プロのオーケストラと共演したり、母校で後進の指導にあたったりしているが、実は慶應義塾大学の医学部生でもある。姉の香音さんは5年生、妹の絵美里さんは2年生だ。

香音さんは小学校から、絵美里さんは幼稚園から、白百合学園に通っていた。高校生の頃には、すでに音楽活動をしていたから、受験勉強も大変だったに違いない。

音楽家のセミプロとして研鑽しながら、超難関大学に合格。それも姉妹で。音楽と勉強、どうすれば“文芸両道”に育てることができるのか。母親が猛烈な教育ママなのか、熱すぎるステージママなのか……。

「姉妹でコンクールに入賞し始めてから、どんな鬼ママなのかと噂されたことがありますが、実は一度も『練習しなさい』と言ったことはないんですよ。『勉強しなさい』と言ったこともないですね。むしろ『まだ練習してるの?』『勉強しないで遊びに行こう』と言っていました(笑)」

当時、専業主婦の母親はひたすら観察して娘2人を育てた

そうおっとりと答えるのは、母親である聖子さんだ。実は聖子さんは、幼児教室講師や子育てアドバイザーなど各種資格を持ち、マザーリングコーチ(*)も行う幼児教育のプロ。

幼稚園受験や小学校受験に対して迷いや不安を抱える母親たちの相談にのっている。だから文芸両道の子育てか、と思いきや、子どもたちが小さい頃は専業主婦だったという。

「とにかく子育てが楽しくてしょうがなかったんです。出産前から『子どもはかわいいな』と思ってはいましたがいざ自分が産んでみると『子どもってこうやって大きくなるんだ』と、その日々の成長度合いに感銘を受けることばかり。この子は何をしようとしているんだろう、どうして泣いているんだろう、と子どものふとした瞬間を見逃さず、よく観察していました」

常に目の前の子どもに関心を持ち、観察すること。それが“文芸両道”の第一歩だったのだろうか。もっと詳しく聞いてみよう。

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