それまで定員割れが続いていた私立福岡女子商業高校(福岡県那珂川市)は2020年度に国公立大学の合格者を一気に20人も出した(前年度は0人)。2年前に国語科教員として赴任し、現在は校長も務める柴山翔太さん(31歳)に、どのように生徒の学力を底上げしたのか聞いた――(後編/全2回)。

※本稿は、『プレジデントFamily2022年春号』の一部を再編集したものです。

柴山翔太さん
写真=本人提供
私立福岡女子商業高校校長の柴山翔太さん(31歳)

偏差値50以下でも毎年70人も国公立大学に合格する秘密

前編から続く)

――20人の国公立大学合格者が受験したのは学校推薦型選抜の入試。この試験に注目されたのは、どんなきっかけですか?

2020年春に福岡女子商業高校に赴任する前に、神戸の私立神戸星城高校に勤務していました。そこは推薦選抜を活用して国公立大学に多くの子がチャレンジしている学校で、偏差値は50に満たないぐらいの学校にもかかわらず、毎年70人程度合格者が出ていました。その数字はまさに衝撃でした。

どんなことをすればそんなに多くの国公立大学の合格者を出せるのか。神戸星城の存在を知ったのはその前に在籍していた北海道の高校での教員時代。当時、特別に神戸星城へ研修に行かせてもらったんです。そこで指導のメインになっていたのは小論文でした。私自身、国語の教員ということもあり、小論文指導をすることもあったのですが、その研修で小論文指導のスキル、特に読解力をつけさせる指導法を学びました。

――実際に赴任した神戸星城での小論文指導は具体的にはどんな内容でしたか?

小論文指導は、希望者のみが受ける特別講座で期間としては8カ月ぐらいです。生徒たちを見ていると、その講座に参加していた子と、参加していない子には別の学校で学んだのではと思うくらい、学力の差が出ていると思ったんですね。

小論文というのは、現実に起きている日本や世界の問題に何らかの解決策を提示するものです。小論文指導を受けた子は、社会問題の知識や理解も圧倒的に深いと思いましたし、社会問題についても主体的に意見を持っている。会話をしていても、すごく感じましたね。

小論文指導
写真=学校提供

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