東京大学の中でも最難関の理科3類に合格した内山咲良さんは現在、医学部6年生。彼女は今秋、陸上女子三段跳びで大学日本一になり、脚光を浴びた。将来は救急医か産婦人科医を目指す。なぜ、勉強も陸上もテッペンをもぎとることができたのか。『プレジデントFamily』編集部がインタビューした――。

※本稿は、『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』の一部を再編集したものです。

「とにかく負けず嫌い、諦める前にやれることはすべてやります」

2021年9月17日から3日間行われた日本学生陸上競技対校選手権大会(インカレ)の女子三段跳びで、自己ベスト13m02を記録して優勝したのが東京大学医学部6年生の内山咲良さんだ。

東京大学医学部6年生/インカレ陸上三段跳び優勝 内山咲良さん
東京大学医学部6年生/インカレ陸上三段跳び優勝 内山咲良さん(撮影=岡村智明)

大学生の陸上競技日本一を決めるこの大会には、もちろん陸上競技の強豪校や体育大学の選手も参加している。その中で東大生が優勝するのは史上初の快挙である。しかも、医学部生なのだから、まさに「文武両道の逸材あらわる!」と各界から注目を集めているが、本人は試合後、メディアの取材に控えめにこう応えている。

「私に陸上の才能があるとは思っていません。でも、そう思って諦める前にやれることはたくさんあるし、やれることはすべてやったと思えるような準備をしてきました」

小さい頃から、水泳、そろばん、英語、ピアノといろいろな習い事に挑戦してきた。そのどれにも全力で取り組む子供だったという。

「とにかく負けず嫌い。何事にも『上手にできるようになりたい!』『できなかったことを頑張ってできるようになりたい』という気持ちが強いんです。でも、そうやって頑張ってきたから、自分の幅がずいぶん広がったと思います」

なかでもピアノは4歳から高校2年生まで続けた。発表会に向けて猛練習し、本番は一発勝負という緊張感を何度も味わってきたことも、今の自分の糧になっている、と感じている。

筑波大附属中学に入学したとき、部活で陸上を始めた。当時は走り幅跳びの選手だった。同じ頃、それまで漠然とした夢だった医学部への進学も本格的なものになっていく。

「もともと人の体の構造に興味があって、医師になりたいなという夢はありました。でもちょうどその頃、心の病にかかって苦しんでいる人が身近にいて、その人の苦しみを少しでも和らげてあげられればと思うようになった。体だけじゃなく心にも寄り添える仕事が医師なのかなと。ですから最初は精神科の医師を目指したんです」

こうして陸上選手と医師という二つの夢に向かって歩き出したが、もちろんどちらも簡単な道ではない。特に陸上は「体の使い方が下手な選手」(内山さん)というレベルからのスタートで、かっこよく跳べない、走れないという悩みを常に抱えていたが、持ち前の負けん気で、諦めずにコツコツと取り組んでいった。

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