夏バテ防止にはどんな食べ物がいいのか。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士・赤石定典さんは「夏こそ、キムチ、納豆、みそ(汁)、ヨーグルトといった発酵食品を積極的に食べることで腸内の環境を守り、結果的にコロナ予防にもなります」という。そのメカニズムとは――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021年夏号』の一部を再編集したものです。

発酵食品を食べて夏バテ防止&コロナ予防すべし

暑さが厳しくなっていくこの時季、子供も大人も体調を崩しがち。そんなときにこそ、積極的に食べたいのが発酵食品です。キムチ、ぬか漬け、納豆、みそ、ヨーグルトといった発酵食品は腸内環境を整えるので、夏バテ予防にも、新型コロナウイルス感染症予防にも効果があります。

みそ汁
撮影=よねくらりょう 料理=矢作千春

では、なぜ発酵食品で腸内環境が整うのでしょうか? 理科の授業のようですがメカニズムを紹介しましょう。

そもそも発酵とは微生物(菌)の働きによって食物中の栄養分が分解された状態を指します。たとえば、キムチは白菜の成分が乳酸菌によって分解されることで、独特のうま味や酸味を醸し出します。発酵食品をつくる微生物にはさまざまな種類があり、それによって生まれる味わいが変化するわけです。

一方、人間の腸内にもさまざまな細菌がすみついています。その数はなんと約100兆個! 食べたものをその無数の細菌が分解し、栄養として吸収しているのです。ただし、腸内菌のすべてがよい菌とは限りません。体に有益な菌を善玉菌と呼ぶのに対し、有害な作用を及ぼすのは悪玉菌、そしてどっちつかずで優勢なほうと同じ働きをする日和見ひよりみ菌と3タイプに大別できます。

これらのなかで最も割合が多いのが、実は日和見菌。7割も占めています。つまり、大多数の菌は善玉菌が増えれば善玉菌に加勢して、悪玉菌が多くなればそれにならって悪さを働く。強いものに巻かれるところは、どこか人間社会とも似ていますね。

そこで発酵食品の出番です。これらに含まれる乳酸菌などの細菌は腸のなかで善玉菌として活躍します。善玉菌が増えれば日和見菌もそれに加わり、腸内環境を良好に保てるというわけです。特に夏は、夏バテにより食欲が落ちることで疲労もたまり、免疫力も低下します。だから、夏こそ発酵食品なのです。

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