先行き不透明なこれからの時代を生き抜くためには、どんな力が求められるのか。親は子供に何をすればいいのか。『プレデントFamily』編集部が、難関大学合格実績の高い一貫校や、新機軸の校長にインタビューした――(前編/全2回)。

※本稿は、『プレデントFamily2021年春号』の一部を再編集したものです。

開成学園の銘板
撮影=プレジデントオンライン編集部

開成高校の校長が落合陽一さんと伊沢拓司さんを推すワケ

これからの時代を生き抜いていくには、どんな力が必要なのか。そのために、家庭でやるべきことは何か。トップクラス校の校長に聞きました。十人十色の答えの中から、きっと各家庭に響く答えが見つかるのではないでしょうか。

各校長にお聞きしたのは、子育て世代の多くの親が悩む、下記の2つの質問。

Q1:これからの社会で必要になる力は何でしょうか?
Q2:その力を身につけさせるために、家庭教育でやってほしいことを教えてください。

●開成中学校・高等学校校長 野水 勉さん

A1:異文化の背景を持った人、マイノリティー(社会的少数者)、社会的弱者等、さまざまな多様性を深く理解する力。

日本社会も、多様な背景を持った方たちが急速に増えてきており、否応なくグローバル化の時代を迎えています。海外に出かければ、なおさらです。また、ビジネスにおいても、アカデミック(学究)の世界においても、海外の人との親交や協力が、これまで以上に必要不可欠となります。高い外国語力とコミュニケーション力を身につけ、独創的な視点を持って国内外で活躍してもらいたい。そのためには、何よりも相手の立場に立って、相手の考えや気持ちを理解し、適切に発信する力が大切だと考えます。

A2:新聞を読み、現在日本で起こっていること、海外で起こっていることを知り、自分の頭で考え、自分の意見を持つようにしてほしい。

とくに、弱者への配慮の視点を大事にするようにしてもらいたいです。保護者の方は、大人の考えを押しつけず、お子さんの個性ある意見や知的好奇心を引き出すように、丁寧に話し相手になってください。知識を詰め込むだけの勉強では困ります。自分で意見を持たないと、人からの指示を待ってしか行動できない人になってしまいます。大人になる過程で、自分で考え、納得して、自立して行動することが求められるようになります。日本や世界がどのように動いているのか、自分で知る努力をし、意見を持つことが、自立と自覚をうながすことになります。

【学校が注目している卒業生】

落合陽一 メディアアーティスト

[推薦の理由]デジタルネイチャーという情報工学と物理空間を組み合わせた学術分野で世界的に優れた研究成果を積み上げる一方、エンジニアリングとアートを融合させたメディアアーティストとして奇抜なアート表現を創り出しています。

[在学中の様子]生徒の間でも強烈なキャラクターで知られる、音楽、美術等も含めて多才な人物で、平成の「ダ・ビンチ」と呼ばれていたそうです。

伊沢拓司 QuizKnock代表

[推薦の理由]クイズを生業なりわいとする新しい発想で、現在テレビで大活躍中。

[在学中の様子]中学1年生からクイズ研究会に所属し、すでに中学2年生の頃から学校内で目立っており、研究会の中ではGOD(神)としてあがめられていたとか。

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