文部科学省が前倒しで実施した「GIGAスクール構想」により、今春までに多くの全国の小中学校に生徒1人に1台、iPadなどのデジタル端末が届いた。今後、学校はどう変わるのか? 家庭ではどうサポートしたらいいのか? また、どんなリスクがあるのか? 『プレジデントFamily』編集部が文科省の担当者や現場の教員、脳科学者に聞いた――。

※本稿は、『プレデントFamily2021年春号』の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/kohei_hara
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コロナ禍で早まった学校のICT環境整備

文部科学省がGIGAスクール構想を掲げたのは、2019年12月のこと。GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、これからの社会(※1)を生きる子供たちに必要な教育をするために、ICT(情報通信技術)の効果的活用を目指す構想だ。

当初の計画では、学校のインターネット環境を整えながら、23年度までに児童・生徒に1人1台端末を整備していくことになっていた。

そんな矢先、教育現場に突如降りかかったのが、20年3月からの新型コロナウイルス感染拡大予防のための休校要請だ。ICT環境が整っていた私立校がオンライン教育へ切り替えて授業を再開できた一方で、多くの公立校は、なすすべもなかった。これを重く受け止めた文科省は、「教育を止めてはいけない」と20年度中に計画を前倒しして環境整備に取り組んできた。

進捗状況について、文科省の初等中等教育局情報教育・外国語教育課の今井裕一課長に伺った。

「20年8月に実施した調査では、全国の自治体で端末の選定が進み、21年3月末までにほぼすべての自治体で納品完了予定となっています。春には1人1台の端末を届けることができそうです」

無限に広がる授業方法の選択肢

ICT端末を使うと、授業はどのように変わっていくのか。

「大前提として、20年春から小学校において『知識・技能』『思考力・判断力・表現力等』『学びに向かう力、人間性等』の三つの資質・能力を育む新学習指導要領が全面実施されたことがあります。また、21年1月にまとめられた中央教育審議会の答申では、『個別最適な学び』と『協働的な学び』を一体的に充実することで、すべての子供たちの可能性を引き出す『令和の日本型学校教育』の構築を目指すとされました。これらをしっかりと実施していくために、従来の教材に加えてICTも積極的に活用してもらうというのが一番のポイントです」(今井課長)

ICTはあくまで道具。それをどう使うかは先生次第だという。ICTの使い方や使用頻度は先生によって大きく差があると考えておこう。

「授業でやれることが格段に増えるのは間違いありません。技術的には世界中の教室をつなぐこともできるのですから、工夫の余地はいくらでもあるといえるでしょう」(今井課長)

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