頭のいい子供の親はどのような教育方針を持っているのか。4人の子供が東大医学部に進学した佐藤亮子さんは「子供が小さい頃は、連続54回同じ絵本を読み聞かせすることもありました。過保護な部分がありましたけど、過干渉だけは避けようと気をつけました」という。教育のスペシャリストである2人の母親との座談会で明らかにした“親技”とは――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021春号』の記事の一部を再編集したものです。

絵本
写真=iStock.com/RapidEye
※写真はイメージです
最難関といわれる東大医学部に進学した4人の子供を持つ佐藤亮子さん。そして、外資系企業の第一線で働き今は世界の最先端教育を紹介している竹村詠美さん、さらに教育ライターとして家庭や専門家を取材している加藤紀子さんを加えた3人の凄腕ママが語り合った「子育てのコツ」(前編)に引き続き後編をお届けします。

佐藤亮子ママ「同じ絵本を連続で54回も読みました」

【加藤】同じ本を何度も読みたがるっていうのも、子供ならではの感覚ですよね。子供って同じ絵本でも毎回違う読み方をしているらしいですね。

【竹村】うちの夫は「違う本もいっぱいあるよ」って感じで、ほかの本を出したがるんですけど、私はその子が同じお話を本人なりに深めたり楽しんだりしてるんだから、別の本に行きたいって言うまでは何度でも読めばいいと思います。

【佐藤】私も子供の気がすむまで何度でも読むのがいいと思いますよ。次男が生まれたとき、長男が赤ちゃん返りで私に甘えたかったのか、同じ絵本を何度も読んでって言ってきたんです。動物が、ただ「こんにちは」って言うだけのお話なんですけど、どれだけ読ませるんだって思うくらい読みました。10回くらい読むとこっちもイライラしてくるんだけど、これはもうやるしかないと腹をくくって、「正」の字を書いて回数を数えていったら結局54回!(笑)

【竹村】そこまでつき合ったのはすごい!(笑) 読むのを楽しむ方法を編み出したのもいいですね。

【加藤】児童精神科医の故・佐々木正美先生は、過保護と過干渉を区別し、過保護はいくらでもやっていいと。佐々木先生の言う過保護とは、子供が望んでいることをたくさんしてやること。一方、過干渉とは、子供が望んでもいないこと、むしろ嫌がっていることをやりすぎることだと。佐藤さんの子育ては、まさにこの意味の過保護だなと思いました。

【佐藤】そうそう。私が本を世に出したばかりのとき、過保護の塊だって非難されたんですよ。朝、なかなか起きられない子供に靴下をはかせるとか、勉強時間が増えるように子供の髪を乾かしたりとか、私が工夫してきたことを非難する人が多かったですね。でも、保護と過保護ってどこで線引くの? って話でしょ。過保護と過干渉をみんなごちゃごちゃにしてますよね。

【加藤】佐藤さんは、子供が望んでいるものを察知するために、一人一人をよく観察されていたんだろうなと思います。もし過保護ではなく過干渉だったら、お子さんとの関係がギスギスしているはずですから。

「過保護でしたけど、過干渉だけは避けようと気をつけていました」

【佐藤】「(子供を)マザコンにさせるなよ」とも言われましたけど、4人とも東京に行って、家事ができなくて困ったということはなく自分たちできちんとやって暮らしていました。結構自炊もしていたようです。今なんて、上3人はもう医師になって忙しく働いているので、時々LINEで様子を聞くんですけど、既読スルーですから(笑)。

【加藤】親子によってケース・バイ・ケースですよね。周りの声は気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。

【佐藤】確かに私は過保護でしたけど、過干渉だけは避けようと気をつけていましたよ。18歳まで年齢に応じて子供との距離を意識して少しずつあけていくようにしました。勉強の手伝い方も、中学受験までは手をかけましたが、中学以降は徐々に手を離していくという感じでしたね。

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