わが子の読解力を伸ばすにはどうしたらいいのか。南雲国語教室代表の南雲ゆりかさんは「親が日頃、子供にどんな声かけをしているかが大きなポイントです。家族の会話で子供の語彙力が高まると、読解力も高めることができます」。親が率先して使いたい心情を表す言葉や慣用句を紹介しよう——。

※本稿は『プレジデントFamily 2021年冬号』の記事の一部を再編集したものです。

娘と話している母親
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わが子の成績に直結「語彙力」をつけるには親の声かけが重要

どれだけの「語彙ごい」をもっているかは、読解力に大きくかかわってきます。たとえば物語文にしても、どういう心情なのか、どういう状況なのかを理解するときに、言葉の力は欠かせないからです。

よく、「語彙を増やすには、本をたくさん読めばいい」といわれます。確かに本をたくさん読めば多くの言葉に出合いますから、語彙は増えるでしょう。

でも、小学生が「子供向け」という基準で書かれた本をいくら読んでも、出合う言葉には限りがあります。

「悲しい」とは…「切ない」「哀れ」「やるせない」「痛々しい」「心が痛む」

また、言葉には「使ってなんぼ」という面があります。読むだけではなく、実際に使ってみる機会がないと、自分の中の語彙として定着しません。

子供の語彙を大きく増やすには、「大人との会話」が重要だと、私は考えています。教室で子供たちを見ていると、大人との会話の機会が多い子供は語彙が豊富です。会話の中で新しい言葉に出合い、その使い方を体感できるからでしょう。

特に心情を表す言葉では、語彙力の差が顕著に表れます。実は、小学校で習う漢字には、感情に関係するものはあまりありません。そのせいか、作文を書いたり、物語の登場人物の気持ちを考えたりするとき、「楽しかったです」「悲しいのだと思います」といった表現がほとんどです。

困った表情をした様々な年齢の人々
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「悲しい」にも、「切ない」「やりきれない」「哀れ」「やるせない」「痛々しい」「心が痛む」など、日本語にはたくさんの表現があります。一緒にテレビのニュースを見ながら、「やりきれない事件ね。心が痛むわ」とか、「きっと切ない思いをしているでしょうね」といった表現を親が使えば、子供の中に自然とインプットされていきます。

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