注目の習い事第1位!パソコンいらずの「プログラミング」アプリ

続・小学生のママに知ってほしいiPad勉強アプリ【最終回】 〜教育ICTコンサルタント 小池幸司〜

ピョンキーを使えばiPadだけで本格的なプログラミング体験ができる
「Scratch」のサイト。MITメディアラボが開発した(iPadでは利用不可)。
「ピョンキー」の画面。命令が書かれたブロックを組み立てることでプログラミング作品をつくる
用意されたキャラクターだけでなく自分で描いたキャラクターを動かすことも可能
ブロックの組み合わせを何通りも重ねることで本格的なゲームや物語がつくることができる
本連載著者の小池氏(左)とYouTube番組「iTeachers TV」(右)

物心ついたときから身近にスマホやタブレットがあり、“デジタルネイティブ”と呼ばれる今の小学生。でもスマホやタブレットですることと言えば、LINEやゲームをしたりYouTubeを見たり……。せっかくなら、もっと有効活用してほしいと思いませんか? 本連載では、教育現場でタブレットを活用した学びに取り組む先生たちの“とっておきアプリ”をご紹介。ゲーム機だった家庭のiPadが、“学びの武器”へと変わります。さりげなくダウンロードして親子でやってみてください! 

保護者向けのアンケート調査(イーラーニング研究所調べ)で「2017 年に子どもにさせたい習い事」の 第1位に選ばれるなど、いま“プログラミング”が人気を集めています。2020年度から小学校でもプログラミング教育が必須化されることもあり、子供向けプログラミングに関する書籍を書店で目にすることも増えてきました。「ウチでもやらせてみたいけど、何からはじめたらいいか……」という方も少なくないのではないでしょうか。今回は、iPadが1台あれば、すぐに本格的なプログラミングを始められる、そんなとっておきアプリのご紹介です。

□ ピョンキー(無料)※iPadのみ

身に付く力:創造性、構成力、論理的思考力

今回ご紹介する「ピョンキー」はMITメディアラボが開発した「Scratch(スクラッチ)」をベースに作られたアプリ。Scratchは世界中で数百万人に利用されているビジュアルプログラミング言語で、ここ数年、日本の学校でも導入される事例が増えてきています。Scratchは、Flashという動画やアニメを再生するための機能が使えないためiPadでは利用できません。「ピョンキー」はいわばiPad版のScratchです。

ピョンキーの操作方法は基本的にこのScratchとまったく同じ。Scratchを使ったことがある方なら何の事前説明もなく始められます。また、「プログラミングなんて、まったくやったことない」という方もご心配なく。難しい英語の命令文を手入力するのではなく、命令文か書いてあるブロックがいくつも用意されており、組み合わせていくことで、本格的なプログラミング作品をつくることができます。

試しに、「動き」というカテゴリの中から10ぽうごかすというブロックを、真ん中のコマンド入力スペースまで動かしてタップしてみましょう。画面の中の“ピョンキー”が10歩分右に動きます。続いて、「制御」カテゴリのずっとというブロックを組み合わせてみると、こんどは“ピョンキー”が右端に着くまで“ずっと”動きます。さらに、「動き」の中にあるもしはしについたら、はねかえるを間に挟めば、ステージの中を“ピョンキー”が往復するようになるはずです。仕上げとして、(緑の旗)がクリックされたときをつけてあげれば、1つのプログラミング作品のできあがりです。

いま並べたブロックを上から順に読んでみると、「(緑の旗)がクリックされたとき/ずっと/10歩動かす/もし端に着いたら、跳ね返る」となりますね。こんなふうに、日本語で書かれたブロックを組み合わせることで、子供でも簡単にプログラミング作品をつくれるのがビジュアルプログラミングである「ピョンキー」の特徴です。

また「ピョンキー」には、動物や乗り物などのキャラクター、背景のイラストや画像もたくさん用意されています。それらを眺めているだけでも「こんなゲームが作れそう」「あんな物語ができるかも」と想像力が刺激されるはず。さらにお絵かきアプリのように、自分でキャラクターを描くこともできますので、世界でたった1つだけのオリジナル作品がつくれるのです。

自分で描いたキャラクターをプログラムで動かしてゲームや物語をつくる。それは子供たちにとって非常に刺激的でワクワクする体験です。だれかが作ったゲームで遊ぶだけでなく、自分の頭で想像し、苦労して作り上げたゲームで友達と一緒に遊ぶ。プログラミングを通じてそんな体験をした子供たちは、楽しさや達成感と同時に、教科書からでは学ぶことのできないたくさんの学びを得ることができます。

さて、1年にわたって先生たちのとっておきアプリを紹介してきた本連載も今回が最終回。ゲーム機だったiPadを“学びの武器”に変えるアプリ、見つけることができたでしょうか。

子供たちにとっての学びは、いつだって遊びの延長線上にあります。一方的に与えるのではなく、親子で一緒に楽しめて、新たな気づきが得られる。そんなiPad活用法をぜひご家庭でも見つけていただけたらと思います。

【筆者プロフィール】

小池幸司 (教育ICTコンサルタント / 学習塾 俊英館)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。iTeachers発起人。

タブレットや電子黒板といったICT機器をうまく活用することで、学校をはじめとする教育機関でも“新しい学び”が広まりつつあります。iTeachers TVはそんな教育現場のいまをお届けする教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、その実践や取り組みをプレゼンテーション形式でご紹介します。番組は毎週水曜日の夜にYouTubeで配信。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。