ラ・サール中の寮では夜8時以降は全員勉強です

第3回は九州屈指の名門校、鹿児島県にあるラ・サール。

話を伺ったのは高校からラ・サールに入学したCくん。2011年卒業のOBで一浪の末、東大に入学し、現在は3年生。寮と高校の雰囲気を中心に話を伺いました。

 

――どんな雰囲気の学校でしたか? 全国から優秀な生徒が集まっている感じ?

「ラ・サールは、知名度は全国区ですが、福岡など九州内から来る生徒が多かったです。全寮制ではなく学校の近くの自宅から通ってくる生徒もいます。僕の学年は中学から150人弱が入学し、高校から90人弱が入学しました。僕は高校から入学し寮に入ったのですが、人は人という雰囲気がありお互いの個性を尊重するので居心地がいいですし、学校と寮で長い時間を過ごすのでみんな仲がよくなります。男子校ですから体育祭でも盛り上がりましたね。いい友達ができるので学校生活はすごく楽しかったです! 毎年東京でOBが集まる同窓会があり、いろいろな年代の卒業生が集まるのですが、盛り上がります。医学部に進学する生徒が多いですが、医者の息子がすごく多いという実感はなかったです」

 

――寮生活はどんな感じですか?

「僕が卒業した後に寮を改築したらしいので変わっているかもしれませんが、僕の頃は中学までは先輩や後輩など3学年で共同の寮、高校からは1人ずつの個室が並ぶ寮でした。高3からは寮を出て学校の近くに下宿します。寮では夜8時からは基本的には外出禁止になるので、それからはそれぞれの部屋で自習時間。中学までは義務自習という3時間の強制的な自習があるのですが、僕の時代は高校の自習時間は先生の指導はありませんでした。だから高校になると実際にはほとんどの人が遊んでいたと思います。僕は友達の部屋に行って遊んでいることが多かったです。みんなでAKBの話をしたり、給湯室に集まって鍋をしたり。朝は学校が始まる前にサッカーをよくしていました。部屋は個室なので、壁中にポスター貼ったり、内装を凝ったりする人もいて。アニメやマンガが好きな人などは、部屋を自分の好きな作品のポスターやタペストリーなどで埋めていましたが、干渉されることはありませんでした。もしかしたら誘惑の少ない自宅から通っている生徒のほうが勉強に身が入るかもしれません。それでもなお勉強する人が少数いて、彼らは大学には現役で合格していました。
中学生のときは1年から3年まで8人くらいの相部屋で先輩と後輩の関係があります。けんかをしたりする場合もあるらしいですが、それもいい思い出のようです」

 

――どんな校風?

「生活指導は割と厳しいです。校則違反が見つかったら学内謹慎。反省部屋みたいなものがあり、そこで朝から夕方まで反省文を書かされるなど軟禁状態。僕も、今になって考えれば馬鹿なことをしたなと思いますが、友達に宿題をしてもらったことがばれてしまって、その部屋で反省文を書かされたことがあります。学校や寮ではテレビゲームやパソコンや携帯電話などは一切禁止なので、実家との電話も公衆電話を使っていました。携帯電話がなくても僕は不自由だと感じたことはなかったです。厳しいところもあるけれど、その規則の中ではわりと自由。夏休みとか長期休暇で地元に帰って、公立高校に通っている友達に話を聞くと公立高校のほうが勉強面でも生活面でも忙しそうだなと感じました」

 

――毎朝小テストがあると聞きましたが、勉強面ではサポートは厚いのですね。

「勉強面では、週3日、朝テストがありましたし、高3からは週テストという受験を意識したテストがありました。テストの回数は多かったと思います。追試や追々試もありました。僕の学年の大学受験の結果があまりよくなかったからか、次の学年からは高校生でも義務自習をするようになったらしいです。ちなみに週テストなどテストは基本的に順位が発表されます。僕はだんだんその順位を気にしなくなってしまいましたが、気になる友達は順位を下げないようにがんばっていました」

 

——塾に通う生徒はいないですよね?

「基本的には通いませんが、学校の近くに東進衛星予備校があって高3になると通っている人もいました。だいたいは特待生制度を使えるので、塾に通っている人でもあまりお金はかかっていないと思います」

 

——進学指導はあるのかな? C君の場合あまり勉強しなくても、なぜ東大を目指そうと思ったのですか?

「進学指導はしてくれますが、東大に受けるようになど誘導や強制はされません。先生は生徒の意向を尊重してくれる感じです。でも、生徒の間に自然と、文系なら東大や京大に行こう、理系なら東大や国公立大学医学部に進学しようという雰囲気ができていました。僕の成績は、高三でも、だいたい文系クラス50人中40番前後……。理系の生徒が多く文系は少ないのです。成績は悪いほうでしたが、それでもなぜか東大を受験しようという気持ちになるんですよね(笑)。私立大志望はほとんどいなくて基本的には国公立大志望ばかり。結局、現役では歯が立たなかったので、浪人して福岡の予備校で勉強をしました。大きな予備校が多い福岡で浪人をする友達は多かったです。それに年に2回、先生がわざわざ鹿児島から福岡の予備校に来てくれて、ラ・サール生を集めて激励会をしてくれるんですよ。それは心の支えになりました」

 

もともと親元から離れて暮らしてみたいという気持ちから、ラ・サールに進学することになったというCくん。「中学はもっと厳しいみたい」とも話していました。ラ・サールはもともと厳しい寮生活というイメージを持っていたのですが、出てきた言葉が意外にも和気あいあいとした楽しげな雰囲気でした。

 

*ラ・サールの寮の費用は毎月約7万円(2014年7月現在)

 

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