帯の素朴なギモン1

 

別冊『きものおたすけ辞典』より 帯の素朴なギモン1 

 

Q1 「染めの着物に織りの帯」ってどういうこと?

A    都市伝説です。

 

ちまたで耳にする「染めの着物に織りの帯。織りの着物に染めの帯」という文言。「この言葉は、着物が“日常着”から遠ざかる中でよく使われるようになったのでは? 振袖や留袖などの礼装には金銀の入った織り帯を、紬(つむぎ)のようなふだん着には染め帯を合わせるというふうに、コーディネートを単純化したんだと思います」(田中) 実際には、小紋+染め帯や、紬+ざっくり織り帯も素敵なのだから、この言葉は都市伝説といってもよいのかも。また「織り帯」という言葉が2タイプの素材感を指すのも混乱の原因。光沢感のある「かっちり」とした織り=きちんと系、紬糸などを使った「ざっくり」とした織り=カジュアル系と、正反対を意味することも覚えておきたい。

左が「染め帯」、右が「織り帯」。
織り帯は、「織り」で柄を表現している。
すべて「織り帯」。
左は、「ざっくりとした織り」で紬や木綿などカジュアルな着物に向く。
右は、「かっちりとした織り」で小紋などきれいめの着物にも。
中の2つは、その中間。

 

 

 

 

 

教える人*森荷葉(和文化プロデューサー)、

田中敦子(工芸ライター)

文*中尾千穂

撮影*唐澤光也(パイルドライバー)

イラスト*太田垣晴子

別冊『きものおたすけ辞典』はこちらから