【vol.56】もう、痛くない。「足元」研究

もう、痛くない。「足元」研究

足袋を穿(は)くと指や足の股が痛い、草履や下駄(げた)の鼻緒も痛い。
なのに、なぜ、せっかくの着物の日に人はガマンしてしまうのだろう?
足袋と履き物の選び方ひとつで、痛くならずに、しかもきれいな「足元」はちゃんと手に入れられますよ。

 

 

自分の足のこと、知っていますか?

 

自分の足に合った足袋に出会うために、まずは自分の足のことを知ろう。人の足は、足の長さも幅も甲の高さもさまざまだということは計測して初めてわかること。正確に知るには肩幅に合わせて立ち、均等に体重をかけた状態で他人に測ってもらおう。

足がラクちんな足袋の穿き方

足袋を穿くときは、足袋を半分に折り返して足を入れ、足指が先端までしっかり入ってから、引き上げる。コハゼは、足首を90°に曲げて下から受け糸に掛けていく。このとき、足首の細いところは内側、太いところは外側の受け糸に掛けるといった工夫をしても。

痛いのは〝股〞ではなくて…

鼻緒が硬くて履きにくい場合は、まず両手で鼻緒を広げておくと履きやすくなる。冬場の冷気で革が硬くなっているときは、手で温めながら揉(も)んでおくと軟らかに。

〝お母さん時代〟の草履をどうする問題

どんなに高価なものだったとしても、草履にも寿命はある。使用可能期間は約10年。母から娘へと譲られた古い草履は、経年変化によって革も硬くなっている可能性大。履くと痛いし、鼻緒が切れたら怪我のもとにも。親子間の贈りものは着物にとどめて、古い草履は潔く処分。

さて、どっちがラク?

見た目の美しさ、色柄の嗜好もさることながら草履選びの基本は、自分の足とのフィット感と歩きやすさ。草履の台座、足底の形は草履選びの最初のチェックポイント。プロから見て一番足がラクなのはベーシックな舟形。台座に綿などの緩衝材が入っていると長時間の使用でも足の痛みや疲れが出にくく、歩きやすい。

教える人=白記澄子(「ゑびす足袋本舗」)、伊藤 実(「四谷三栄」)

文=藤田千恵子 撮影=原田教正 イラスト=上路ナオ子

 

ほかにも、足元の痛い、窮屈をすっきり解消するヒント、あります。

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