人に教えたくない店 [431]

人形遣いの姿がふっと消え、
人形が生きて見える瞬間があります

桐竹勘十郎さん

 
 

文楽人形遣い三世
桐竹勘十郎
kanjuro Kiritake
1953年、大阪府生まれ。本名・宮永豊実。68年、吉田簑助に師事し、吉田簑太郎を名乗る。師匠から女形の芸、父から男役の芸を学んだ。2003年、父の名を継いで3世勘十郎を襲名。08年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、紫綬褒章受章。この2月23日に『KANJURO 人形の世界』を自らのプロデュースで公演。「通常の演目のほか、トークや対談、チェロ独奏で演じる『関寺小町』なども予定しています。多彩な趣向で“人形”の魅力をあますところなく紹介できればと考えています」。

撮影/牧田健太郎、工藤睦子
構成/須藤靖貴

 
 

 人形一体を3人の人形遣いが操るなんて、ユニークなことを考えるでしょう。こういうことを、300年前に思いついた先達がいるんですね。
 文楽の人形遣いは、主遣いが首と右手を、左遣いが左手を、さらに足遣いが人形の足を操ってます。誰かが誰かに合わせているわけやないんです。呼吸が自然と合う。それがすべてといってもいいくらい。人形は大夫の語りと三味線にのって演じますが、これも呼吸が合うかどうか。
 初日前、全員での稽古は一度しかなく、動きも決められているわけやない。言葉も交わさず、その場その場でぱっと呼吸を合わせていく。人形の足遣いなど、長年の修業が瞬間に表れます。人形遣いもいつも同じトリオというわけではありませんので、誰と組んでも一体感が必要です。
 大夫と三味線の関係も主従はなくて、緊迫した呼吸の積み重ねで互いの息を合わせます。何十年も修業を積んできた者が一瞬一瞬にすべてを出し切ります。微妙な呼吸で成り立っているわけですが、すべてがうまくいくとは限りません。それでも、数年に一度、「今日の舞台は完璧や」というときがあります。人形遣い、大夫、三味線の三者の呼吸が合うて、芸が真ん中でぶつかる。演じていて、もう鳥肌が立ちます。
 文楽の人形は、生身の人間以上の表現力を持つと言われます。なぜでしょうね。ぼくらは舞台を生で観られへんので(笑)。
 人形の役になり切ることが大事と言われますが、少し離れて醒めて見る感覚も大事。ぼくらは役者でもあり、人形を遣う技術者でもある。そのバランスが難しいところです。その瞬間がたまらないと言っていただくと嬉しいですね。
「世界無形遺産」となった日本の伝統芸能の一つですが、どうも言葉で説明してもうまく伝わらないようで。とにかく劇場にいらしてください。難しそうだと構えず、ただ観るだけでええんです。
 舞台のあとは、たっぷり飲んで食べます。結構体力を使いますし、ぼくの場合は演じる前にはほとんど物を食べません。夜の部がひけると、ものすごい空腹感です。だから、夜の食事は一番の楽しみで、かなり時間をかけて食べます。
 どちらの店も、呼吸が合っている。料理、雰囲気、サービス、シェフの人柄……。これも言葉での説明はもどかしい。どうぞ、足をお運びになって料理を召し上がってみてください。

 
 
イタリア料理
ピヌーチョ


とびきり旨くて安い! 大阪の下町トラットリア

●大阪の下町っ子に愛されて8年目。本場での修業経験も豊富な福田英隆オーナーシェフがイタリア家庭料理の美味しさをリーズナブルに提供。手を加えすぎない魚介類のメニューが評判だ。ピッツア、リゾットなどのメニューも充実。ワインのフルボトルは2600円から。
●大阪府大阪市住吉区東粉浜2-11-20
TEL.06-6672-5999
営業時間/11:00~13:30(LO)、17:30~21:00(LO) 月曜休 カード可


  • 1.「国産牛フィレ肉のソテー オリジナルソース」(2230円)。果物をふんだんに使ったソースは大阪人好みの深い甘み。肉の旨みを絶妙に引き立てる。
  • 2.「リングイネと渡りガニのトマトソース」(1780円)。蟹はさっと火を入れ、エグみを出さず、旨みだけを引き出している。ほかに、牡蛎やイカ墨など魚介のパスタは看板メニューだ。
  • 3.「サザエの香草焼き ガーリックバターオイル」(1580円)。磯の香りがオイルの濃厚さと絡まってワインが進む。
  • 4.「前菜の盛り合わせ」(1280円)。明石だこのマリネ、やりいかなど、旬の魚介を前菜に。どれも瑞々しい味わい。「これでスプマンテ(発泡酒)を飲むのが、最高の楽しみ」と桐竹さん。

フレンチ
GINZA kansei


フレンチでふぐ。 和洋を超えた舌の幸福を

●銀座の地で6年目を迎える。坂田幹靖オーナーシェフは「体に優しいフレンチ」を掲げる。野菜をふんだんに用いて素材を活かすメニューは味わい深く軽快。6皿のコース(月替わり)1万2000円~が人気。
●東京都中央区銀座5-6-13 西五番街ビル3F
TEL.03-3573-5721
営業時間/12:00~15:00(LO)、18:00~21:30(LO) 日曜休 カード可 サービス料5% 要予約


坂田シェフはふぐの調理師免許を持っていて、冬場はフレンチ仕立てのふぐ料理が楽しめる。写真の料理はすべてそのふぐのコース(2月末まで)より。
  • 1.天然ふぐのカルパッチョ。ふぐは福井県産の天然もの。下にはシャンパーニュ入り糠で漬けた長芋が敷かれ、共にいただくと和洋を超越した風味に。
  • 2.空豆のポタージュ。甘みの強い種子島産の空豆を使用。口いっぱいに春の香りが広がる。
  • 3.ふぐ白子に古代米で衣をつけたフライ。新海苔とすだちのソースが爽やか。濃厚な白子を軽快な味付けで堪能できる。
  • 4.ふぐの炭火焼き赤ワインソース添え。肉厚の身を炭火で焼くことで、香ばしさが立ちのぼる。赤ワインソースがぴたり。
 
 
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