僕がファイナンシャルプランナーの資格をとったのは2002年で、52歳のときです。今ではマネーセミナーの講師など、金融関係の仕事もずいぶん増えています。でも、僕自身の資産運用歴は、けっこう波瀾万丈なんですよ。ずいぶん失敗もしましたしね。
20代のころはTBSの社員アナウンサーで、収入はサラリーマンとしては比較的多かったはずです。だけど、貯金した記憶はほとんどない。結婚したときにお金を使い果たして、女房にあきれられましたね。
でも、29歳のときに2500万円で買ったマンションが1980年代に7500万円に値上がりして、買い替えたらついに2億円になりました。もう気が大きくなっちゃって、借金でワンルームマンションを次々と購入。その頃に株式投資も始め、仕手株を買ったりもしました。商品先物もやりましたよ。
大豆に投資したら、100万円がなんと3カ月で7倍に!「これはすごい」と思って、次にプラチナを買ったら、今度は100万円が一気にマイナス1000万円に……。何でも自分で経験してみないと気が済まないんです。余裕資金でしたし、「勉強だからいいや」って。「損したって、もっと働けばいい」という考え方でしたね。
独立してフリーになったのは89年。そのころの資産は、ほとんどが不動産でした。ところが、ご存じのとおり、その直後にバブルが崩壊。ワンルームマンションなども処分しましたが、不動産で億単位の借金を抱えるハメに。
それでも、90年代後半のITバブルの頃には、けっこう新興株を買いました。当時は、買った株が1週間で3倍にも値上がりしましたね。そのときに売ってキャッシュにすればいいんですが、次の株に乗り換えるだけだから、結局、バブルが弾けて元の木阿弥。
「おいしいことは続かない」
これ、本当ですよ。
その後、ファイナンシャルプランナーの資格をとるために勉強し、ポートフォリオ理論なども学びました。そこで自分の資産運用も見直し、現在は商品を組み合わせてトータルで年4~5%の利回りを目指すという、まっとうな運用方針に変更しています。50代になると、自分だけが働くのはちょっとキツい。お金にも働いてもらえれば、ずいぶん楽になりますよね。
現在の資産運用でベースになっているのは、やはり銀行預金です。そして、投資商品としては、バランス型投資信託や株式投信などを組み入れています。このほか、海外ファンドや金の積み立て購入もずっと続けています。積み立て投資は、安いときに多く買い、高いときには少ししか買わないという方法なので、購入コストが平均化されて安定した投資ができるというメリットがあるんですよ。
でも、ハイリスク・ハイリターンの投資をやめたわけじゃない。僕は、ワクワクするのが大好きですからね。ベトナム、ドバイ、南アフリカなど、新興国に実際に行って、海外口座を開設したりしています。現地を自分の目で見て納得してから投資したい、という考え方ですね。
実は、わが家では子ども2人がやっと大学を卒業して、教育費がかからなくなったんです。それに、不動産のローンも完済しました。資金にも余裕がでてきたので、これからが第2の資産運用黄金期、というところかな。
いま50代の方の家庭は、僕と同じように、教育費や住宅ローンがもうそろそろ終わる、という状況でしょうか。この年代なら、老後を視野に入れて、資産の守りを固めておきたいですね。資産のうち7~8割は手堅い商品にして、残りの2~3割をリスク商品で運用する、というのが基本だと思います。まずは、親の介護も含めて、今後の生活費がどれだけかかるかを書き出してみることです。その上で、3000万~5000万円の老後資金をどう準備するか、検討してみてください。
とはいえ、今は収入も減るし、リストラの不安もある時代です。そんなお金はとてもつくれそうにない、と感じる人もいるかもしれません。それに、サラリーマンが大勝負をするには、今はちょっと難しい時期でしょう。でも、そこであきらめることはありません。
50歳というのはちょうど過渡期で、先行きに不安を感じる年代です。「これ以上やってもだめ」というミドルエージ・シンドロームに陥りがちですが、もっと自分に自信を持ったらいいじゃないですか。
実は僕自身も、50代を前に不安を抱えていたんです。家庭では義母の介護をしていたし、フリーアナウンサーの仕事も転換期を迎えていました。サッカー番組を中心に、さまざまな分野を担当していたのですが、「何でも屋」では「便利屋」で終わってしまうのではないか――。そんな時期、介護体験についての本を出版したことを契機に、介護問題についての講演の仕事をいただくようになりました。そして、次に出合ったのがファイナンシャルプランナーの資格です。
介護を語るうえで、お金の問題は避けて通ることができません。この資格をとることで、仕事の新しい方向性がはっきり見えてきたのです。
今、僕の仕事のメインテーマは「心と体と財布の健康」です。この3つは、どれも密接につながったテーマで、切り離せません。このフィールドでさらに専門性を深めるため、福祉住環境コーディネーター、ヘルスケアアドバイザーなどの資格もとりました。
僕の場合は「人前で話す」のが仕事です。だから、これをベースとして、フィールドを広げてきたのです。サラリーマンの方も、やはり仕事の延長線上で考えるのがいいでしょう。「営業」「経理・財務」など、それぞれの分野で積んできた経験と実績があるはずです。自信を持って、自分が持っているものをもう一度見直してみてください。
得意な分野で持っている力を生かす方法を考えれば、たとえば専門技術を解説する講師になるなど、新たなキャッシュフローを生み出す道がきっと見つかるはずですよ。
ただ、最大の財産はお金じゃない。最も大切なのは「人とのつながり」だと思います。資格をとり、フィールドを広げることで、人脈もずいぶん広がりました。このご時世、ピンチのときもありますが、そんなときにも、僕には「ヒロシさんのためなら」といって助けてくれる人たちがいる。それが僕の最大の財産なんです。こんな財産を「人リッチ」って呼びたいですね。
50代のサラリーマンなら、会社生活はもう長くありません。でも、人生はまだまだ長い。今は90歳、100歳まで生きる計画を立てておくべきだと思います。60歳でリタイアなんてしていられませんよ。70歳まで働くつもりでいいんじゃないでしょうか。
だから、もう会社なんかに頼らないで、いつでもどこでも働ける「自分力」を高めておかなくちゃいけません。
そのためにも、大切なのが「ヒトリッチ」パワーを蓄えておくこと。50代は、まだまだのんびりなんてしていられませんよ!











