ビジネスパーソンにとって、いまや欠かすことのできないキーワード「アンチエイジング(抗加齢)」。インターネットによる健康意識調査では、約8割の人が「知っている」と回答している。以前は、女性の美容関連で取り上げられることが多かったが、近年は、体の内側から老化をコントロールする「男のアンチエイジング」が注目されるなど、認知度は高まっている。「医学界でアンチエイジングが認知されるようになったのは、この20年ほどのことです。ホルモン補充療法やサプリメント投与、老廃物の解毒などの内科的医療によって、老化現象をコントロールできる可能性があることがわかり、医療サービスとして提供されるようになってきました」
人間の体は確実に老いていく。多忙を極めストレスの多いビジネスパーソンならば、老化のスピードも速い。30歳代から不規則な食生活や運動不足の影響で太り始めて、メタボリックシンドロームが気にかかるようになり、40歳代では脱毛や老眼に悩まされるようになる。50歳代に入ると男性ホルモンの分泌が低下して、男性更年期特有のうつ状態やED(勃起障害)に悩む人が急激に増えていく。「アンチエイジングは、それぞれの年代でのオプティマル・ヘルス(最善の健康)を獲得するための医療です。100点満点の健康状態を保ち続ければ、生活習慣病やがんを防いで、健康長寿を達成することができます。健康であってこそ、退職後も起業や海外旅行などさまざまなことにチャレンジして、人生を愉しむことができるのです」
多忙なビジネスパーソンの日常を振り返ってみると、老化のスピードを加速させるような生活だと指摘されても、反論の余地はない。
デスクワーク中心で、1日の歩数は1万歩に満たない。職場は冷暖房完備で、1年中快適な温度で過ごす。多忙期には夜半まで働き、ストレスはたまる一方。食べすぎや飲みすぎ、喫煙などの生活習慣を、なかなか省みない。「人間の体に理想的な生活とは、日の出とともに起きて、暑い日には汗を流し、寒い日には熱を逃さないように鳥肌をたてて、体温の低下を防ぐ。日中は活動的に働き、日の入りとともに横になって休む。そんな暮らしです。
しかし、現代人、特に都会人は、重力や時間、季節を無視した『地球を意識しない生活』のなかで生きています。文明の利器に囲まれて昼夜を問わず活動を続け、家事労働や移動手段にとどまらず、体温調節まで冷暖房機器任せ。このような生活では、体が本来もっている機能は低下する。さらに不規則な生活やストレスが老化を加速させています」
人間の健康は、体に備わった自律神経系、内分泌系、免疫系によってコントロールされている。その中心的な役割を果たしているのは自律神経系だが、都市型生活では活躍する場面が少ないために本来の働きが低下する。そこに無理を重ねると、老化が進み健康が損なわれやすくなる。
このような環境のなかで、加齢に負けないエネルギッシュな体づくりを実現するためには、どのような取り組みを始めるべきだろうか。「人間が本来備えている力を蘇らせるためには、『都市型原人』を目指せ、というのが、私が勧めるアンチエイジングです。昼間は活発に動き、汗で体温を調節し、飽食を避け、夜間は十分に休養をとるライフスタイルです。
具体的には、3食・5色の錆びない食事、ゲーム感覚の運動、質を重視した睡眠を心がけることが大切です」
5色の錆びない食事とは、食卓に白、黒(茶)、赤、緑、黄の色合いの食材をそろえること。健康を高める抗酸化成分は緑黄色野菜や果物に比較的多く含まれているので、5色そろえると自然にバランスが整いやすくなる。
免疫力を高めるには、腸内細菌を意識するとよい。ヨーグルトに抗酸化成分を含んだブルーベリージャムを入れて毎朝食べるなどの小さな積み重ねが、5年後10年後に大きな差となる。
そして、健康づくりの基本となるのは、やはり足腰を鍛えることだ。ハードな運動はなかなか難しいが、歩数計と連動したゲームソフトなどを活用すれば、競争心が刺激され、自然に歩数を意識するようになる。そのほか、バランスボール、ヨガ、太極拳などの運動は、骨盤や背骨周囲の筋肉強化に向いている。「睡眠は量よりも質が重要です。ノンレム睡眠とレム睡眠は90分をひと区切りにして交互に出現しますから、90分の倍数、4時間半や6時間の睡眠を確保してください。また、1日に1回は笑う習慣を身につけると、免疫力が高まることがわかっています」
加齢とともに体力や気力が衰えてくると、疲れがとれない、だるい、肩こり、目の疲れといった不調が起きやすくなる。東洋医学でいうところの『未病』、つまり病気ではないものの健康とはいえない状態だ。
このような半健康状態の人に対して、最新のアンチエイジングクリニックでは、どのような医療サービスが提供されているのだろうか。「まずはアンチエイジングドックで、骨、筋肉、脳、血管、ホルモンの各年齢を測定します。実年齢よりも高い、老化の進んだ弱点をチェックしてから、それを補うホルモン補充やサプリメント処方などを行います。体調が悪いときにビタミン点滴を受けると、効果をすぐに実感される方が多いです」
ところで、アンチエイジングは何歳ぐらいから始めればよいのだろうか。「体の機能全般が衰え始める30歳ころから始めるのが理想的です。しかし、何歳で始めても遅すぎることはありません。見た目の差は、肉体の差でもあります。若々しく見える人ほど、骨も筋肉も、脳も血管も、臓器も皮膚も若いのです。今日から、アンチエイジングを意識してください」
最後に、アンチエイジングのポイントをまとめた10項目を、青木医師に提示してもらった。ふだんから「都市型原人」生活を心がけ、ときにはアンチエイジングクリニックを活用して、いつまでも若々しい活力あふれるビジネスエリートを目指したい。
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