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| 気泡型の断熱材「アイシネン」。 |
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| 緑の表示のときは売電中。 |
9月22日、国際気候変動首脳会議に出席した鳩山由紀夫首相は、2020年までに日本の温暖化ガスの排出を1990年比で25%削減することを国際公約として表明した。
これまで人類の目標設定やそのためのルールづくりは欧米が主導してきた。しかし地球のサステイナビリティという、今人類にとって最も基本的なテーマについては、日本が先進国としてリーダーシップを取る、そういう宣言であると私はとらえたい。今後さまざまな抵抗が予想されるが、順を追って考えることから始めればいい。
日本が排出する温暖化ガスは45%が産業部門、そして残りの55%が民生部門が占める。
産業界は、今後も環境技術の活用やエミッショントレードなど、さまざまな手立てを講じて成果を上げるだろう。また従来からの過剰生産状況の解消、加えて短期的には世界的な経済不況下での生産縮小に伴うCO2排出量の自然減も見込めるだろう。しかしたとえばセメント製造におけるエネルギー効率は、すでに理論値に近づきつつある、つまりエネルギー効率は極限に達しつつある。
一方、55%の民生部門は、まだまだエネルギー効率を上げられる、つまり大きな省エネルギー余地がある。大づかみに、そのうち1/3が家、1/3がオフィス、1/3が輸送(自動車)と捉えれば、日本の1億3000万人の日常生活で、いかに減らすことができるかが重要だ。だから、すべての部門で一律に25%削減といった省エネ目標枠を設けることは、理論的に誤りである。
私がここで繰り返し「理論」という言葉を使うのには理由がある。過去の論証には「分析」が有効だが、未来の洞察には「分析」に加えて「理論=基礎」が必要だからだ。理論を知り、現実を正確に把握して、そのギャップを埋める対策を考える。これが未来の課題に対する正しい対処法であろう。
2002年に自分の家をエコハウスに建て替えて実験を始めてみたのも、省エネ=低炭素の家づくりは、理論的に実現可能とわかっていたからだ。またこれを普及させるためには、多くの人たちに共感を持ってもらうことも必要であり、そのためには快適性も立証できなければ駄目だろうと考えたからである。
エコハウスづくりで、まず力を入れたのは断熱。以前、南向きのマンションに暮らしていたとき、赤いカーテンの下に10㎝ほどの黒ずみができてしまった。昼と夜との温度差で結露してカビが生えたのだ。そこで窓はすべて二重ガラス(ペアガラス)にした。
壁の断熱法についても慎重に検討した。よく使われるグラスウールのような繊維型の断熱材は、繊維の隙間に空気が入り込むため、多湿な空気が冷たい壁と触れて結露が生じやすいという弱点があった。すると設計士がアイシネンという空気を隙間なく遮断できる気泡型の断熱材を探してきてくれた。
外断熱か、内断熱か、かなり迷ったが、結局、外断熱のメリットとは、断熱材を外壁に貼るので工事が容易なため断熱材を隙間なく貼れる可能性が高いこと。要は外か内かが問題ではなく、いかに外気と内気を完全に遮断することができるかが重要なので、アイシネンのような断熱材を利用すれば内断熱でも問題はないと結論づけた。
ペアガラスと万全の断熱効果で、わが家は実に快適。以前の家では、広いリビングではエアコンを2台稼動することもあったが、このエコハウスではよほど大人数の来客でもない限り、1台で十分である。
断熱とともに重要なのは、空調とお湯作りである。家庭のエネルギー消費の6割は、冷暖房と風呂のお湯づくりが占めるからだ。当初、わが家はエネルギーゼロのエコハウスをめざしていた。ちょっと計算間違いをして、ゼロとまではいかなかったが、太陽光発電とエコキュートの導入で、エネルギー消費は格段に少なく、夜間電力を低価格で購入し、太陽光発電の約6割は売電している。
エアコンは、家を建てたときにつけた2002年当時のものだが、最新式に変えれば、エネルギー消費は4割減少する。省エネ家電の冷蔵庫を買い換えれば、さらに減少するだろう。それでもわが家のエネルギー消費量は、従来に比べて8割減った。ここ10年間データを取って比較した結果だから間違いない。
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| 低炭素で快適な高齢社会づくりを目指す地方自治体の取り組みをネットワーク化し、成果の共有化を通じて先進的モデルの普及を図る三菱総合研究所の提案「プラチナタウン・ネットワーク構想」。小宮山宏理事長が提唱、東京大学等が千葉県柏市に設立したフューチャー・デザイン・センター(FDC)が成果共有の触媒機能を果たす。建物の断熱化、太陽光、風力、バイオマス等再生可能エネルギーの利用、高効率熱源・空調システムの利用、バリアフリー等を備えた新しい社会基盤の提案だ。 |
日本の国土は南北に長く、また山間部が多いので、気候、地形、それに伴う文化は多様であり、求められる住まいの機能も多様性に富む。地域ごとに省エネルギー性や快適性に優れた家の条件が異なるからこそ、それぞれの地域に合ったモデルハウスを作ればいいのではないかと考えてきた。
実は今、私のこうした思いを踏まえた大きなプロジェクトが、全国の複数の地方自治体との協働作業で動きつつある。それが「プラチナタウン・ネットワーク構想」だ。プラチナとは高齢者とエコロジー・低炭素社会が放つ輝きを表し、エコハウスを中心としてエコでバリアフリーで快適な街づくりを日本全国で進めていこうという試みである。
現在青森県では、新幹線が通るJR敷地近くの一等地に、プラチナタウン第一号をつくろうというプロジェクトが具体化しつつある。
まずエコハウスの家々で街(プラチナタウン)を作る。太陽光発電などの自然エネルギーやスマートグリッド(次世代電力網)などによる低炭素エネルギーが供給され、中心市街地には医療機関や職場、商店、学校がある。このプラチナタウンに住む人々には、医療、教育をはじめとする情報システムなどもパッケージ化して提供されるといったようなものだ。
また福井県では、医療データの有効活用についてのプロジェクトが進んでいる。今後の高齢社会対策として高齢者のレセプト(診療報酬明細書)のデータと健康診断と介護のデータの一体化を目ざすというものだ。個人情報の取り扱いなどの問題があるだろうが、メンバーシップ(会員制)などの方法を採用すればクリアできるだろう。国の施策として、一から議論すれば時間がかかるだろうが、実現できれば、世界でも例を見ない試みになると考えている。
このようなことができるのも、東京大学総長時代に種をまいた東京大学・柏キャンパスのフューチャーデザインセンター(FDC)の活動、東京大学・高齢社会総合研究機構のジェントロジー(加齢学)の研究成果があるからだ。
重要なのはスピード。だからできるだけ早く47都道府県すべての地方自治体で、それぞれの実状に合った取り組みに着手できるよう体制を整えたい。互いに競い、同時に協力し合ってスピードを上げて前に進めるような体制を作りたい。そのためにFDC主導で、IT上に導入事例をすべて盛り込んだプラチナタウンを作るためのハンドブックも作ろうと思っている。
この試みは日本だけでなく、アジアの地域にとっても有益なモデルケースとなるだろう。さきほども南北に長い日本の国土でエコハウスのモデルを作る意義を述べたが、このプラチナタウンが、世界の、特にアジアの諸都市と姉妹都市関係を結べば、新たな展開も期待できる。
これを、「産学自」、すなわち産業と大学、そして自治体が共同して進めていくこととなる、この「プラチナタウン・ネットワーク構想」こそ、新たな実態のある地方自治の成功モデル例となり得るだろう。
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| 窓はすべて二重ガラスに。「一重ガラスと二重ガラスでは、二重ガラスのほうが熱の伝導が50倍ぐらい低くなる」。 |
地球温暖化、エネルギーや資源の欠乏、高齢社会の到来……。今、日本にはまだ世界のどの先進国も解決したことのない課題が山積している。「課題先進国」とはこのことを端的に表現したものだ。
しかし私自身は、この課題解決に関しては悲観していない。むしろ今こそ、「課題解決先進国」日本に生まれ変わるチャンスであると思っている。
トヨタやホンダはハイブリッド車の開発で世界の先鞭を切っている。EV(電気自動車)の開発も進んでいる。自然エネルギーの太陽電池技術は世界のトップを走り続けている。エアコンや冷蔵庫などのエコ家電、ヒートポンプやコージェネレーションシステム、燃料電池などの分野において日本のものづくりが生み出してきた各製品は、エネルギー効率の面で、群を抜いている。これらをベースとして現在、取り組むべきなのがエコハウスであり、「プラチナタウン・ネットワーク構想」であると思う。
また昨今、盛んに日本には内需拡大が必要だといわれている。しかも、もはやいらない道路をつくる余裕はない。これから本当に必要なものが、新たな産業となるべきだ。それが、エコ製品や、バリアフリーのインフラや、新築に加えて既存の住宅のリフォームが内需拡大を支える大きな産業になると予想する。
現在日本が抱えている課題を解決し、その成功モデルを提供して世界に貢献できる。「プラチナ・ネットワーク構想」を実態あるものとすることで、日本が21世紀の社会システムのフロントランナーになることができる可能性を持つと考えている。 ▲▲














