人に教えたくない店 [418]

行列店でも1~2時間かけて並びます。
一般客の目線じゃないと意味がない。

大崎裕史さん

 
 

ラーメン評論家
大崎裕史
Hiroshi Oosaki
1959年、福島県会津生まれ。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役。広告代理店・飛竜企画の社員時代の95年、ラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。翌年には全国を対象としたラーメンデータベースサイト「Ramen Bank」を開設した。イベントやラーメン集合施設など、ラーメンに関するさまざまな分野でコーディネーター役を担う。2005年、株式会社ラーメンデータバンクを設立、代表取締役に就任した。ブログ〈自称「日本一ラーメンを食べた男」の日記〉が人気を博している。


構成・文/須藤靖貴
撮影/岡本 凛

 
 

 

 ラーメンばかり食べているイメージを払拭したかった!……というのは冗談ですが、こういった店で食事をしていると、ラーメンファンから怒られることもあります。そんな余裕があるのなら、一杯でも多くラーメンを食べろ、ということですね。
 でも大丈夫。昼にラーメンを三杯食べてきました(笑)。

 ラーメンにしても他ジャンルの店にしても、私はコレクター型なんですね。美味しい店を見つけても、もっと美味しいところがあるんじゃないかと考えてトライするのが好きなんです。ラーメンの世界もずいぶんと多様性が出てきているので、レストランでの食事も勉強になります。
 ラーメンは全部自腹で食べます。行列店ならば1時間でも2時間でも並ぶ。紹介する以上、一般のお客さんと同じ目線でなければいけません。混雑の中での接客はどうかなとか、座ってから待たされるのではサラリーマンには勧められないとか。音を立てて麺を啜るので、スーツなどもすぐにダメになってしまう。気にしながら食べても美味しくない。服を一冬でダメにしたこともあります。

 昔は、ラーメン店主は職人気質で接客まで気が回らない、というところもあり、そういう店には気の利く奥さんがいた。頑固オヤジと気遣い奥さんが私の理想店です。今は夫婦でやる店も減ってきて、店主の接客もよくて当たり前になりました。
 ただし顔は大事です。いい店の店主の顔には気合が漲っています。500人の客が来るとして、ラーメン一杯は店からすれば500分の1です。しかし客にとっては大事な一杯。いい店の店主はその一杯に気を抜かない。そういう気合が、必ず顔に表れるんですね。

 ラーメン店の暖簾は一人でくぐることが多いから、気持ちよく食べられて店主の気合までが丼に入ってる、というのがいい。レストランの場合は何人かで楽しむ雰囲気で、そのうえでサプライズがあればなおいい。そういう店を紹介したくなります。「ヒロソフィー」のメニューはとにかく見せ方で楽しませてくれます。サプライズ満載なので写真は載せたくないほどです(笑)。「レヴェランス」は雰囲気がとてもいいお店。ソムリエが料理に合わせたワインを選んでくれる。接客も楽しいんです。若いのにオヤジギャグも飛ばすし、客の会話にさりげなく入ってくる間が絶妙。両店ともメニューには気合が漲っていて、ほかの部分にさらに客をもてなす気持ちが入っています。

 ラーメンは日本に誕生して100年。蕎麦が400年、パスタが700年ということを考えるとまだまだ。成熟しているイタリアンやフレンチでここまで工夫がある。それを目の当たりにして、ラーメンの輝かしい未来に思いを馳せています。


 
 
イタリア料理
ヒロソフィー


自由奔放な発想に誰もが驚嘆

●リストランテ・ヒロの総料理長・山田宏巳が2009年5月にオープンした小さな店。原則、紹介制を採っている。ヒロのスタッフ、常連客からの紹介があれば予約可能(男性は35歳以上)。サプライズを大切にするため、普段のメニュー撮影は厳禁だという。
●東京都港区麻布十番2-8-8 エル麻布ビル2F
TEL.03-3457-6115
営業時間/18:00~23:30 不定休 カード各種OK


「山田さんの料理なので、美味しいのは当たり前。なによりエンターテインメント性が素晴らしい」(大崎さん)というサプライズ満載のコース(1万5825円)より。
  • 1.「冷たいトマトのカペッリーニ2009」はサンマ、コチ、焼いたイサキなどを、ユニークな器で。
  • 2.若いバルサミコ酢の香りが清々しい「トリッパのムニエル・夏野菜添え」。
  • 3.「海水うにとわさびのペペロンチーニ」。食べ進めるうちに誰もが「え!」と声をあげる仕掛けが。
  • 4.「水牛の新鮮モッツァレラチーズと温野菜」は朝採り牛乳で作ったチーズを宮崎から空輸。温野菜は諸々20種類以上。

フランス料理
レヴェランス


若き名コンビが織り成す、至福の食時間

●亀山和也オーナーソムリエ、堀宏至シェフのコンビで至福の時をもたらしてくれる。ラストオーダーの設定がないのは、入店してから数時間、料理とワインをゆったりと楽しんでもらうため。料理はコースのみ(ショートコースもある)。
●東京都港区南麻布4-12-4 プラチナコート広尾1F
TEL.03-5475-3290
営業時間/12:00~13:30(入店)、18:30~20:30(入店) 火曜休 カード各種OK 完全禁煙


1万3650円のコースから。
  • 1.脂に滋味が溢れる「フォアグラと鰻のソテー(パラディ)」。亀山氏がピタリの赤ワインを合わせてくれる。
  • 2.「アワビ・アンディーブのキャラメリーゼ(シグネチャー)」。飴状に炒めたアンディーブの甘味、濃厚なアワビ肝のソース、そこに黒酢のゼリーを絡めると風味が一変。
  • 3.「フランス・ドンブ産うずら(真夏の皇帝)」。皇帝うずらを脂で煮て一晩寝かし、軽く焼いて最後は藁で炙って香ばしさを出す。
  • 4.前菜「鯵・実ユズと紫蘇(アクテュエル)」。塩と白バルサミコ酢で軽くしめた鯵をユズ風味に。魚介は毎朝、堀シェフが自ら築地で買い付ける。
 
 
PRESIDENT 2009年8.17号
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