人に教えたくない店 [400]
世が世なら将軍さまでしたが
自由で気ままな今の自分が一番幸せ
徳川慶朝さん
「慶喜公とお顔が似てますね」といわれることがあります。でも子どものころは教科書を見ても、これが曾お祖父さんか、と思うくらいで実感はありませんでした。大正2年に亡くなったので、会ったことはないですから。今、大河ドラマの「篤姫」に慶喜公が出ているようですが、歴史にあまり興味がなくて、見てませんねぇ(笑)。
そんな僕ですが、40歳を過ぎてから先祖のために何かやっておこうと、慶喜公ゆかりの地を撮影して歩いています。慶喜公が撮った写真が家の押し入れにあるのを見つけて、本にまとめたことも。慶喜公とは、カメラ好きな所が似ていたようです。
わが家にはほかにも、慶喜公関連の遺品や古文書、家範もありました。家範は、慶喜公が書いた慶喜家運営マニュアルです。“経済的なことは相談役をおいて相談するように”とか“子孫は自分と同じ墓地に入るように”“皇室を大事に”などと書かれています。でも、僕の親や祖父は読んでなかったみたい。触った形跡がないんですから(笑)。今はすべて、松戸市にある戸定歴史館で管理してもらっています。
僕自身は、それまで住んでいた東京のマンションを処分し、今年の1月から茨城県に住んでいます。ここが慶喜公ゆかりの水戸藩だったというのはたまたま。仕事や趣味を通して仲間ができ、土地柄も気に入ったことがここに来た一番の理由です。
引っ越してすぐ、真っ赤なオープンカーを買いました。子どものころから、“オープンカーの隣に女性を乗せて海岸沿いをドライブ”というのが夢だったんです。でも普段は、女性の代わりにチャーリー・ブラウンの大きなぬいぐるみを乗せています(笑)。スヌーピーのマンガの世界観が大好きなもので。
たまにひとを乗せたとき、ドライブがてらに行くのが、大洗パークホテルのレストラン「松涛」です。ここの社長と知り合いで行き始めたのですが、何を食べてもおいしい。和食も洋食も両方食べられるのも気に入っています。「サムシング」には、生演奏を聞きに、週2~3回は歩いて通っています。食事はいつもお任せ。お酒はシングルモルトウイスキーをキープして飲んでいますが、ボトルには洒落で「将軍さま」って書いてあるんです(笑)。帰りは顔馴染みのタクシーが、寝てても家までちゃんと連れて帰ってくれるし、ここでの生活は本当に居心地がいい。
「世が世なら将軍さまになれたのに」という人もいますが、冗談じゃない。将軍の食事なんて、毒味をしてから出されるので冷たくなっていたようですし、お酒も夕食のときだけ。しかも食後にしか飲めなかったといいます。今の僕は、食事もお酒も自分の思うまま自由に楽しめて、ずっと幸せですよ。
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