人に教えたくない店 [399]

父・加山雄三が作ってくれた
ふわふわかに玉あんかけが忘れられません

梓 真悠子さん

 
 

料理研究家
梓 真悠子
1976年、神奈川県生まれ。女優、タレント、モデル。父は加山雄三氏、母は元女優の松本めぐみさん。慶應義塾大学在学中にスカウトされ、NHK大河ドラマ「毛利元就」でデビュー。大学卒業後に結婚し、二人の男の子の母に。ミセスの憧れの存在として雑誌などで活躍する。また、両親から受け継いだ料理の腕を生かし、オリジナリティあふれるレシピやテーブルセッティングが学べるクッキングサロンを主宰。自身の生活を綴ったブログ「梓真悠子のスタイリッシュサロン」が人気を博している。

構成・文/須藤靖貴
撮影/大井一範(コジト)、伊藤千晴(米福)

 
 

 

 加山雄三を父にもった影響なのかもしれません。忙しくても、自然と規則正しい時間の過ごし方になるようです。朝食を作り、子どもの送り迎えをして、仕事をこなし、夕食の用意をします。
 仕事が立て込んでくると、どうしても料理の時間が削られてしまうのでしょう。けれども私はしっかりと厨房に立ちます。料理研究家のプライドでもありませんし、主婦、母親としての義務感というのとも少し違います。虚心に楽しいんですね。気持ちが安らぎます。睡眠時間は少なくなっても、キッチンに入ることで精神統一ができて、元気になれるようなのです。
 父は料理が好きで、私も小学生の頃からよく手伝いをしていました。スープやソースなどの下拵え担当でしたが、隣で包丁をふるう父の様子がとても楽しげでした。中華料理に凝っていたとき、ふわふわのカニ玉あんかけを作ってくれまして。あまりに美味しくて私が声をあげて感激するので、張り切って食卓に並ぶようになりました。
 父の当時の忙しさはたいへんなものだったはずなのに、家でゴロゴロしているところなど見たことがありません。父と母が料理を作り、家族で賑やかに食べる。きっと父も、料理を作ることでリフレッシュしていたのではないでしょうか。体を休めるのではなく、エネルギッシュなリフレッシュですね。そんな感じで、私もすっかり料理好きになりました。
 私は外食も大好き。料理研究に食べ歩きは欠かせません。家庭で朝食と夕食を用意するので、外食はランチだけだと思われるでしょう? 夜も外食するんですよ。子どもと主人に夕食を作り、一緒に食卓を囲んだあとで、「じゃあ、これから勉強しに出掛けます」って(笑)。遅くまでやっているレストランが多いでしょう。それでも、朝は普通にキッチンに立って食事を作りますよ。
「コジト」はワイン派の私には嬉しいお店。季節感豊かな料理に、ぴったりのワインを合わせてくれます。ご飯の美味しさを再認識させてくれるのが「米福」です。凝った料理はよく食べるので、素材のシンプルな味にほっとします。
 母の日に、子どもの通う幼稚園からメッセージカードをもらったんです。「何をしているときのお母さんが一番楽しそうですか?」という質問に、「お料理をしているとき」って書いてありました。なんだか嬉しかったですね。二人とも男の子ですけど、料理はどんどん手伝わせます。餃子作りとか、フレンチトーストとか。うるさく言わずに、間違えてもいいから楽しんで作らせます。火も使わせます。子どもなりに集中している顔を見ていて、ふと思います。ああ、父が施してくれたことを、私も繰り返しているのだな、って。

 

フランス料理 コジト フランス料理
コジト

シェフ自ら仕留めた鹿は
客が待ちこがれる逸品。
六本木の隠れ家

●六本木ヒルズそばの路地にたたずむ、これぞ隠れ家フレンチレストラン。テーブル、椅子などはすべてアンティーク。2階には個室もある。季節感を大事にした最高の料理に、厳選されたブルゴーニュ産ワインを。スタッフが料理にベストマッチのワインを供してくれる。
●東京都港区西麻布3-2-15
TEL.03-3796-3838
営業時間/12:00~14:00(LO)、18:00~22:30(LO) 日曜休 サービス料10%。


  • 1.名物「シェフが仕留めたエゾ鹿のロースト 山ぶどうをきかせたワインソース」(6000円)は、寒い季節になると常連から問い合わせがくるほど。山田実弘オーナーシェフが北海道で獲ったエゾ鹿を酸味のある繊細なソースで。野趣に富んだ逸品。
  • 2.「香ばしく焼きあげた甘鯛のポアレ 焼きナスのフォンダンを添えて」(3500円)。甘鯛の香ばしさと、ジロール茸、ナスの優しい食感が絶妙にマッチする。
  • 3.「秋ジャケのマリネ瞬間薫製 新ジャガイモのエクラゼ 秋トリュフの香り」(2800円)の爽やかさとコクと。ワインが進む前菜だ。
  • 4.デザートも秀逸。「マロンのエスプーマ モンブラン仕立て」(2000円)の上品な口当たりがいい。エスプーマは泡状とムースの中間くらいの滑らかさ。下層にはアイスクリームが。さっぱりとした甘さが晩餐を締めくくる。

和食
米福

炊きたて
名物・白米土鍋を
季節の魚や惣菜とともに

●白金「心米」の姉妹店としてオープンしたばかり。なにしろご飯が美味しい。気取らぬメニューの美味しさに思わず顔がほころぶ。名物の白米土鍋は通常4種類ある。ひとり客でもゆっくりと食べられる落ち着いた間取りもうれしい。
●東京都渋谷区恵比寿2-13-10 1F
TEL.03-5739-1678
営業時間/16:30~24:00(LO 23:00) 日・祝休み 和牛ハンバーグ、メンチカツ、えびフライなどの洋食メニューも充実。


和食 米福
  • 1. 「白米土鍋 七島さんのコシヒカリ」(850円)は堂々たるメーンディッシュだ。米の美味しさが全身に沁みる。陶器と磁器の長所を併せ持つ特製土鍋で、時間をしっかり計って炊き上げる。一夜干しの「金目鯛のひらき」(1600円)が合う。
  • 2. 「自家製ポテトサラダ」(写真奥・600円)と「豊後水道いわし丸干し」(800円)の香ばしさ。さりげないメニューが丁寧に作られていてうれしい。
  • 3. 「スーパーゴールデンポークの肩ロース生姜焼き」(1400円)が人気。そのままなら豊かなコクが、薬味(クレソン、みょうが、玉ねぎ)を添えれば爽やかな旨味が堪能できる。
  • 4. 「十種野菜のきんぴら」(650円)は繊細な逸品。ごぼう、にんじん、しらたき、まこも茸、さつまいも、じゃがいも、れんこん、糸みつば、パプリカ(黄、赤)が細切りに。酒もご飯も進む。
 
 

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