人に教えたくない店 [383]
夜景がきれいに見えるかどうかなんて
「味」に比べればどうでもいいこと
魚住りえさん
ダイエットで食べるな、飲むなと、生活を制限しなければならないとしたら、「そんなことまでして生きていたくないから、死にます」って、きっと言ってしまう。それくらい、食べることが好きですね。カロリーは、気にしてません。週に2、3回、30キロくらい走ってますから。食べたいものを食べて、ちょっと太ってきたかなと思ったら、運動する。ダイエットのためにコンニャクでいい、なんてありえないです。おかげで、尿酸値が少々高めなんですが。
両親が食に関心を持っていなかったので、子ども時代は食事の時間が愉しいわけではなかったんです。ただ、祖母はグルメな人だった。バターはこれ、ジャムはこれ、パンはあそこで買うって決めていた。お味噌汁一杯でも、母が作るものより断然、おいしかったんですよ。
20代の後半、毎日の料理番組を担当したとき、隔世遺伝が目覚めました。いろいろなシェフと知り合ったり、演出家の方にあちこちお店に連れていってもらったり。自分でも貪欲に勉強するようになりましたね。
広島で育ったので、瀬戸内のいい魚を食べて育ったと思います。父も魚好きだったので、煮付けやお造りなど、魚料理は必ず食卓にのぼっていました。だから今でも、私は自分の名前通り魚が好きで。代々木の「一寸五分」はお魚がおいしい。去年の夏に知ったばかりなんですが、立て続けに通ってしまったほど気に入りました。選んでくれる日本酒と魚の組み合わせも面白い。今ならクエ鍋の真っ最中か。ああ、いいなあ。
デートに誘われる場合は、自分が知らないお店を教えてくれる人に、弱い。逆に「りえちゃんが好きなお店に行こうよ」って言われると、「そっちのカード出してよ」って思ってしまいます。でも、名前だけの高級店にはあまり興味がない。高くておいしくなかったら、テーブルひっくり返すよ、みたいな感じじゃないですか。夜景がきれい、なんていうのも、私にはどうでもいいこと。
でも、意外性は大事。落合の「岸由」は、6000円強でこんなにレベルの高いものが食べられるんだって、びっくりしますよ。おもてなしに心がこもっているし、器使いやお酒揃えにも気を遣っているので、同性とでも異性とでも、あれこれ話題が見つけられると思います。
意外性でよく勘違いされがちなのが、おかまショーが見られるとか、変なバンドが入っているとかいう店。うるさくてしゃべれやしない。焦げたり冷えた料理が出てくるともう、「なんでこんなにまずいの? 早く帰りたいよ~」って。35歳にもなって、我慢できないですよ。男性のお財布の負担にならなくて、しかもほんとうにおいしいものを食べさせてくれる人が、好きですね。
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