特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART3.健康篇 - 6

朝型と夜型と、能率を上げるにはどっちがいいのか

 
 

朝型がよい。無理ならば
自分の睡眠パターンをつかむ

 
 
東海大学医学部教授
医学博士

保坂 隆

Takashi Hosaka
慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、カリフォルニア大学に留学。93年東海大学医学部講師。2003年より教授。著書に『「頭がいい人」の快眠生活術』(中公新書クラレ)。

柳澤美帆=構成

 
 

陽の光を浴びると
脳の覚醒が促される

 朝と夜、人間のパフォーマンスが高いのは、やはり朝です。時間が経つにつれて体は疲れていきますし、血糖値やホルモンなどの関係からみても、夜に仕事をするというのは能率が悪い。

 人間の体内時計は太陽と関係しています。陽の光を浴びると脳の覚醒が促されるので、そこで朝食をしっかり食べて血糖値をあげ、体に疲れがない午前中に重要な仕事をする。そして夕方に向けて重要度の低い仕事へとフェードアウトさせていくというのが、効率のよい仕事の仕方といえると思います。

 夜遅くに会議をするというのは、最も効率が悪い。体も頭も疲れているからいいアイデアは出ない。イライラして興奮したまま家に帰れば、寝付きが悪くなり、体調を崩すことにもつながりかねません。会社にも社員にもいいことはひとつもない。私なら会議は朝、しかも朝食持参ですることにしますね。

 とはいえ、仕事上、どうしても朝型になれない人も多いでしょう。夜に働く仕事であれば、体を夜型の生活に順応させるしかありませんね。また、不規則な勤務シフトの人は体のリズムが狂ってしまいがち。こういう場合は、勤務明けにぐっすり眠ることが大切。疲れをとり、体の調子を整えるには、しっかりと睡眠をとることが非常に重要になるのです。これは昼間働く人も同様。良い眠りが優れたパフォーマンスを生み出すのです。

 では質の良い睡眠をとるにはどうしたらいいのか。それには副交感神経を鍛えることが有効です。

 人間の体は交感神経と副交感神経に支配されていて、眠気に作用するのは副交感神経です。副交感神経の働きが優位になると、体が休息する状態になり、自然と眠気をもよおすようになるのです。この副交感神経を鍛える方法は医学的には二つしかないとされています。ひとつは有酸素運動をすること。二つめはリラクセーションです。週に1〜2回、ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動を30分くらいしたらいいですね。

 このように眠りやすい体をつくるほか、自分の睡眠パターンを理解することも効果的です。就寝時刻と翌朝目覚めた時刻、さらには実際に寝入ったであろう時刻も記録します。また、夜中に起きたら、その時刻と起きていた時間や、トイレに行った、水を飲んだという行動もメモしておく。さらに寝る前の状態がどうだったか、今日はスポーツをしていて疲労感があったとか、寝る直前まで仕事をしていたなどの睡眠記録をつけておくと、自分の睡眠パターンと、これだけ眠れば十分という時間がつかめるようになります。

 また、もし夜型から朝型の生活に変えようと思っている場合、多くの人は、朝早く起きるために夜早く寝ることから始めようとしますが、これは逆。いつもより早く眠ろうしてもよく眠れないまま起きることになり、1日中眠たいまま。「やっぱり早起きは体に合わない」ということになりかねません。ですから朝型に体を切り替えようと思うなら、まずは早く起きることから始める。そうすれば、夜は自然に眠くなるものです。「自分は夜型だ」と思っている人でも、このようにすれば、2〜3週間で体が自然に朝型に切り替わってくるでしょう。また、朝ジョギングをする人が多くいますが、これを夕方するようにする。運動をすればそれだけ体が疲労するので、夜、眠りに陥りやすくなるはずです。

 こうしてぐっすり眠って早く起き、パフォーマンスがいい午前中に仕事を集中させる。それが“デキる社員”になる第一歩となるのではないでしょうか。

 
 
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