特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」
PART2.家族・自分篇 - 10
親がまだ元気なうちに老人ホームの話をどうやって切り出すか
最初に結論を持ち出さないこと
親への精神的な支援を
子供は怠らないこと
私は、尊厳ある死と葬送を考えるNPO法人「エンディングセンター」の代表も務めています。50代、60代を中心とする会員の皆さんと自分の生き方に見合った死に方、葬儀やお墓、終の棲家をどうするかを考える。定期的に、お墓や葬儀場、終の棲家となる施設の見学会や勉強会を行っています。終の棲家の見学会などでは、お断りするくらい希望者が多い。
老後は、こんな施設に入所して、元気なうちは好きなことをして、死を間近にしたときに、看取られて息を引き取る。葬儀はこんな方法で、お骨はこのお墓にというXデーまでの計画を練ってある。約700名の会員は、そんな意識の持ち主が多いので、子供の世話にはならないと考えています。
こうした人たちは、老後について多くの情報が集まる都市部に多いのが特徴です。一般的にいっても、子供のお荷物になりたくないという都会派の親が増えている。一方で、老後は子供の世話になりたいと考えている親もいることでしょう。
では、親が元気なうちに、老人ホームの話を切り出すにはどうしたらいいか。親本人の性格、いま現在、親と同居か、別居かといった条件で、話のタイミングや内容はまるで違ってきます。
まず、親を自立タイプ、普通タイプ、依存タイプの三つにわけて考えてみます。
自立、普通の二つのタイプの親への対応は楽ですね。自立タイプなどは、子供に内緒で老後の入所施設を探している可能性もあり、子供が老人ホームの話を匂わせたら「私、もう決めてるから」とパンフレットまで見せかねません。
普通タイプの親も、子供たちの生活を乱してまで、世話になりたくないと考えています。そんな思いを胸に秘めながら老後に子供の世話になることは、親にとっては地獄でもあるのです。
こうしたタイプの親には、食事時など、和気あいあいの雰囲気のなかで「親子の間でも、将来のことは話し合っておくのは大事かもしれないね」といった言い方をする。最初に軽いジャブを打って、親の反応を探っておくことです。
しばらく期間をおいて、次に自分たちの将来設計を話し、自分たちの意向を徐々に明らかにする。そして「ところでお母さん、お父さんはどうしたい?」と話を持っていけばいいと思います。
親と別居しているケースでは、会った際に話せばいいのですが、同居の場合は別。性急すぎる話の展開では、子供の世話になりたくないと思っている親でも、「そんな準備までしているのか」と気分を害することもあるので気をつけたい。
子供に面倒を見てもらいたいと考えている依存タイプはやっかいです。依存タイプで別居している場合は、「これまでどおり、お父さん、お母さんの面倒は見ます。でも、何かあったら心配です。いままで以上に、会いに行きますが、専門家の手も加わったほうがいいし、いま以上にいい環境にするために、将来のことを考えておきましょう」といった方向で、繰り返し話をしていくことです。
同居している場合はさらにやっかいですが、「同居しているのと同じくらい会いに行きますから」と常にフォローする態度を忘れずに話をしていくことはとても大切ではないでしょうか。
どのタイプの親にも共通していえるのは、身体的な支援は第三者でもいいが、精神的な支援は家族から受けたいと思っているということです。家族の証しであることを求めることは、人として自然なこと。十分な愛情と誠意を示すことを忘れてはなりません。
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