特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」
PART2.家族・自分篇 - 9
老親が悪質な割賦販売の被害にあったらどうすべきか
被害に気づいたら、
次の引き落とし前に専門家に相談を
布団や呉服、貴金属などの高額商品を、契約書型の割賦販売(カードを使わずに商品購入ごとに契約書を交わすクレジット)で売りつける悪質商法の被害が後を絶ちません。被害は高齢者に限らず、主婦や学生にも広がっています。被害を把握したときは、割賦代金の請求が来ていてもすぐに支払わずに、専門家にいち早く相談することが重要です。自動引き落としの場合には、引き落とされている口座の解約や預金の全額引き出しといった素早い対処が欠かせません。弁護士や司法書士、最寄りの消費生活センターなど、相談の窓口はたくさんあります。
この問題が厄介なのは、現在の法律では、悪質業者が経営破綻してしまった場合、信販会社に支払ってしまった代金(既払い金)を簡単には取り返せない点です。
詐欺的な悪質商法による被害が明らかでも、売買契約とクレジット契約はそれぞれ別々の契約とされているため、信販会社は販売業者の悪質商法についての責任を当然には負いません。逆に、支払っていない代金(未払い金)がある場合は、その後の支払いをせずに解決できるケースも多々あります。「引き落とし前に相談を」というのはこのためです。
事態は少しずつ改善しています。行政も動き始めました。経済産業省は2008年の通常国会に割賦販売法の改正案を提出する予定です。改正案を検討してきた産業構造審議会の最終報告には、信販会社に対して販売業者に問題がないかチェックする義務や既払い金の返還義務が盛り込まれました。大手信販各社もこの改正案を先取る形で、悪質な販売業者との契約を相次いで打ち切っています。打ち切り額は大手五社だけでも約3000億円に上るということです。
法改正でも残される
「展示会商法」の抜け道
ただし法改正ですべての問題が解決するわけではありません。残された問題の一つは、法改正以前の被害をどう救済するのかという点です。改正法の適用対象は施行後の契約だけで、過去の被害は対象外です。しかし現在進んでいる信販各社の契約打ち切りはこれまで悪質商法を故意に放置していた証拠ともいえます。クレジット被害を扱っている弁護士たちは、法改正以前の被害についても既払い金を返還すべきだと主張しています。
さらに、最終報告が提案している既払い金の返還義務などの規制の対象は、「訪問販売等」に契約書型の割賦販売が使用される場合のみで、対象範囲が極めて限定的です。たとえば、被害が相次いでいる展示会商法は、「訪問販売等」に当たらないケースが多いため、改正後も規制対象から外れる可能性があります。
展示会商法とは「プレゼントがもらえる」「芸能人が公演する」などという勧誘文句で会場に呼び込み、来場した顧客に販売員がぴったりと張り付いて着物などの高額商品を売りつける、という手口です。その際、契約書型の割賦販売がよく使われており、信販会社側の責任が問題とされています。展示会商法は通常の営業活動との区別がつきにくく、取り締まりは簡単ではありません。ですから、このような商法の手段として使われる契約書型割賦販売の規制によって悪質商法を根本から退治することが必要なのです。
一番危ないのは「ウチに限ってそんなことはない」という過信です。狡猾な業者の手にかかれば、どんなに前知識のある人間も「落ちて」しまう。私だって自信がありません。「おいしい話にはのらない、近づかない」という姿勢が大事です。なかには悪質商法の被害を言い出せず、借金をしてまで払い続ける人もいます。身の回りで「おかしい」と感じることがあったら、すぐ専門家に相談を。
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