特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART2.家族・自分篇 - 8

非正社員の子どもを正社員にするにはどんな手段があるか

 
 

「生涯賃金差は2億円」の現実を知れば
意識に違いが出る

 
 
夏見台幼稚園・保育園 園主

鳥居徹也

Tetsuya Torii
会社員を経て専門学校の広報室長となり、近隣の高校を中心に行った「働く意味」についての講演が話題を集める。著書に『フリータ・ニートにさせないキャリア教育の授業』(学陽書房)がある。

柳澤美帆=構成

 
 

エリートの子どもほど
勤労意欲が薄い現実

 いまの若者はともすると、簡単にフリーターやニートになってしまいます。そしてそこには、エリートの子どもほど勤労意欲が薄い、という傾向がひとつあるようです。以前講演に行った企業でも、一定以上の地位にある人の子どもほど、営業意欲がなく数字をあげられないというデータが出ているという話を耳にしました。

 これはなぜか。理由は、親が成功に至るまでの自分の苦労話を子どもにしないからなんですね。成功する人は人の倍失敗する人です。さまざまな努力や苦労をしているはず。でもそれを子どもに教えないので、子どもは仕事を簡単なものだと思ってしまっている。そしていざ自分が社会に出て壁にぶつかると、あっさり会社を辞めてしまうのです。

 それでは子どもがフリーターになってしまった場合、具体的にどう対処したらいいのか。方策は子どものタイプによって異なります。

 まず、意欲がなく漫然と非正社員でいるタイプの場合には、正社員と非正社員の生涯賃金の差を話してみてください。その金額はいくらになると思いますか?2億円にものぼるのです。この数字は絶対のインパクトがあります。ですからこの事実だけでも、子どもの耳に入れるようにしてください。それだけでかなり意識に違いが出るはずです。

 また、人間関係への不安がもとでフリーターにならざるをえない状態の子どもがいます。ここに退職理由の調査がありますが、「キャリアアップしたい」という理由で会社を辞めていながら、本音は上司や同僚・先輩・後輩との人間関係に悩んで辞めていく人の数が圧倒的に多いことがわかります。それだけ、会社という場所ではコミュニケーションをうまくとることが難しいんですね。

 実は、人は情報を収集する方法で三つのタイプに分けることができます。目で情報を読み取る「視覚型」、耳で情報を聞き取りたい「聴覚型」、話したり物に触ったりしながら確認をしたい「体感型」です。例えば上司に仕事についてメモやメールで報告をしても「見てないぞ」と怒られることがありますね。この上司は耳で情報を得たい「聴覚型」なのです。だから仕事については口で報告したほうがいい。

 ちょっとピンときませんか? よく人と話をするときに目を合わせないで耳を向けるような人がいるでしょう? 嫌われているのかなと思うと、実はそうじゃなかったりする。これはその人が「聴覚型」だという証拠です。

 こうして相手の分類を頭に入れたうえで、相手のタイプに合わせたコミュニケーション方法をとるようにすると、苦手な人を克服する手助けになるはずです。

 すべてのコミュニケーション不全がタイプの違いによるミスコミュニケーションに起因するとは言いませんが、このように一歩距離をおいて相手を見るようになるだけで、気持ちの持ち方は変わってくるものです。人間関係の不安からフリーターとなっている子どもに、タイプの違う人がいると教えることで、いままでと違う目線を与えてあげましょう。

 これは親子間でも同じです。自分と子どもとはまったくの別人格。建前や理想論から子どもを頭ごなしに叱るのではなく、ふっと話にひきこまれてしまうような、興味を持つ事柄から話を始める。これは仕事のクライアントにプレゼンをするのと同じ要領です。そうすれば、日頃うまくコミュニケーションがとれていなくても、子どもは話を聞いてくれるはずです。

 
 
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