特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」
PART2.家族・自分篇 - 6
子どもが流通大手とメガバンクに内定した。
どちらを勧めるべきか
望ましくない
内定先の社員を探して
一緒に会いに行く
結論からいうと、親が特定の業界や企業を勧めたりするのは望ましくないと思う。もちろん、子どもの将来について親は一言も口出しをするべきではないというわけではない。(1)業種や企業に関する「生の情報」を集める、(2)業種や企業を選ぶときの基準をはっきりさせる、(3)「生の情報」と選択基準を基に子ども自らが論理的に考えて決断する──こういう作業を側面から支援するのがよい。
一番のポイントは、自分で決断させること。自分で決断しないと、その結果について自分で責任を負えないからだ。
さて、子どもが職業選択に迷っているとき、父親は子どもに対してどういう支援をすればいいのか。
一つ目は、情報収集をサポートすること。就職情報誌や就職説明会から得られる情報だけでは駄目だ。従業員の本音を集めた本(『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『会社図鑑!2009』など)で業界や企業の実態を知ることも必要だ。しかし、これでも十分ではない。二次情報ではなく、一次情報を集めるべきだ。ここでお父さんの出番が回ってくる。
社内、社外の人脈を使えば、流通大手やメガバンクの関係者にたどりつくのはそんなに難しいことではない。知り合いにそういう人がいなければ、知り合いの知り合いをたどれば必ずや見つかるはずだ。事情を話して子どもに話を聞きに行かせる。一緒に話を聞きに行ってもいい。
最初に入る会社はいろんな意味で重要だ。実際社員はどういう仕事をするのか、社内の雰囲気はどうか、人材育成に力を入れているか、休暇は取りやすいか……などについてじっくりと聞いてみる。
二つ目は、業種や企業を選ぶ際の選択基準を明確にする手伝いをすること。自分が大切にしたいのは、お金なのか、スキルアップなのか、職場環境なのか、労働時間なのか……ということだ。
通常キャリアカウンセリングをする際、選択肢決定シートというフォーム(図を参照)を使う。たとえば、流通大手A社とメガバンクB社で迷っているとする。手順としては(1)選択基準となる項目をいくつか挙げ、それぞれの重要度に合わせて係数(1―3)をつける。(2)流通大手A社とメガバンクB社で、それぞれの項目がどれぐらい達成できそうかを考えて、素点(1―5)をつける。(3)係数と素点を掛け合わせ、それぞれの合計得点を出す。(4)得点を比べてみてもう一度考えてみる。
この作業を子どもと一緒にする過程でコミュニケーションが生まれる。父親の経験や直感から「おまえはこっちのほうが向いているような気がする」という話をするのもいい。結果よりもコミュニケーションをとるというプロセスが大事だ。
最後に、社会人になるときに親は子どもにどういう態度で接すればいいのか。
大事なのは、子どもを自立させる方向に誘導すること。大学へ親元から通っている子であれば、就職を機に親元から巣立たせることを勧める。これによって、簡単には会社を辞められない状態をつくることができる。「会社を辞めても実家にいればお金もかからないし……」という甘えた考えを持たせないこと、「食うためには働かなければいけない」という状態をつくってあげることは、子どもを精神的に強くする。
日頃の取材で企業から聞こえてくるのは「上司とそりが合わないというようなどこの職場にもあるような理由、つまり本質的ではない理由で仕事を辞めていく若者が多い」という話だ。簡単に会社を辞められないなら、自分の興味や価値観をじっくり考えて、自分の進むべき業界や会社を選ぶだろう。










