特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART2.家族・自分篇 - 4

地震・災害のときに離れて住む家族の安否をどうやって確かめるか

 
 
通信手段に優先順位をつけ、
折に触れて確認せよ
 
 
防災アドバイザー
山村武彦
Takehiko Yamamura
1964年の新潟地震のボランティア活動をきっかけに、防災システム研究所を設立。世界中の災害、事故などの現地調査は120カ所以上。防災、危機管理啓発講演は全国で1000回を超える。災害啓発を促す著書も多数。
須藤靖貴=構成
尾崎三朗=撮影
 
 

 仕事中、大地震などの災害が起こった場合を考えてみましょう。都市部のオフィスにいるとき、外回りをしているとき、多くのビジネスマンは、真っ先に家族の顔を思い浮かべるでしょう。

 しかし、無闇に動いてはいけない。これが大災害時の原則です。帰路はまず混乱状態で、二次災害に遭う危険性も高まります。オフィスに近い場所ならば、オフィスに戻る。そうすれば会社での復旧作業に当たることもできます。

 冷静に考えれば、問題は家族の安否がわからないという一点だけ。家族の無事が確認できれば、心理的なストレスの多くは解消します。その心理は、家族の側(妻、子どもなど)も同じです。ですから安否確認のネットワークを、日頃から確認しておくことが大事なのです。

 小さな災害に備える必要はあまりありません。安否確認が取れなくなることは滅多にないからです。問題は大災害。M8クラスの大地震が起きたときのことを想定し、シミュレーションしておく必要があります。

 以下、通信手段の優先順位をシミュレーションしました。

(1)携帯電話。ただし回線規制や中継所そのものの被災もあり、通じないケースが多いことを覚悟する。通じなくとも焦らないこと。

(2)NTTの災害ダイヤル「171」。この利用法を家族全員が認識しておく。

(3)携帯メール。音声は通じなくても、メールはパケット通信なので届く確率が高い。すぐには届かなくても、数時間後に着信したという実例もある。

(4)「三角連絡法」。被災地への電話はかかりにくくなるが、被災地からの電話は比較的通じる。そこで遠方にある「妻の実家」「妹の嫁ぎ先」などの中継点を、優先順位をつけて決めておき、互いに連絡を入れるようにしておく。

(5)公衆電話の活用。ピンク電話以外は、緊急用の非常電話になっている。ここから「自宅」→「171」→「三角連絡法」の順番で電話をかける。

(6)どうしても連絡が取れない場合。家族が落ち合う安全な場所をあらかじめ決めておく。普通は自宅近くの小学校、中学校など。ここにオフィスにいた人間が駆け付ける、ということになる。

東京の災害リスクは
ロスの7倍以上!


 優先順位をつけておくと、いざというときパニックに陥らずにすみます。それだけではなく、家族全員がしっかりと優先順位を共有することが大事です。優先順位を簡潔に書いたカードを財布に入れておき、その内容を年に数回(たとえば家族の誕生日ごとに)、家族会議を開いて確認するといいでしょう。

 わたしがお勧めしたいのは、年に一日、自主的に防災訓練をすること。電気、ガス、水道、電話などの生活インフラを一日だけ止めてみる。すると、本当に必要なものが見えてきます。実はこれを、国家規模でやることも推奨しているのです。

 日本人は危機管理意識が希薄すぎます。世界の地震の20%が日本とその周辺で起こっている。以前、ミュンヘン再保険会社が発表した都市災害リスクのワースト1は東京でした。ロスを100とした場合の危険指数が東京は710。そんなところに住んでいるのです。

「地球にやさしく」などと言いますが、どうも人間の傲慢さを感じます。地球はそれほどやさしい星ではありません。噴火、地震、津波。なにも人間に嫌がらせをしているのではなく、自然の営みなのです。その地球に人間が居るだけにすぎない。だったら人間はもっと謙虚に、「地球に住まわせてもらっている」と思うくらいでいいのではないでしょうか。

 
 
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