特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」
PART2.家族・自分篇 - 3
子どもが本命一流校に全部落ちた。何と声をかけるべきか
子どもは親の期待を実感できる
予備校の講師として受験生と付き合う中で、私はご質問のようなケースに山ほどあたってきました。
子どもは育った家庭や環境が一人ひとり異なりますから、一概にこうすればよいということは難しい。ただ、原則としては、客観的に問題点を分析・指摘しつつ、後に述べるように「もっとあなたはできるはず」と親の期待感を示してあげることが必要だと思います。
数年前、東大と早慶を現役で受験し、すべて不合格となった生徒がいました。父親が大企業勤務のエリートで、母親が名門女子大卒の教育熱心な一家。親の期待と父への対抗意識から、彼は一流校ばかり受けたのでしょう。
この母子が一緒に私のところへ来たとき、母親は子どもにこう諭しました。
「高い目標にチャレンジしたことはとても立派で、いい経験になったと思う。これで自分に何が足りないかがわかったでしょう。その足りないものを学ぶために、一年間予備校で頑張るのよ──」
親の期待を受けて育った子どもは伸びます。実際に彼は一年後、見事慶應義塾大学に合格しました。
親子で一緒にやってきて、教師の目の前で子どもにあれこれ非難を浴びせる親は珍しくありません。確かに、失敗を頭ごなしに叱り飛ばせば、一時的に親の気分は晴れるかもしれませんが、決して子どものためにはならないでしょう。子どもにとって親は最後のよりどころ。基本的に親の支えがないと不安になります。
そんな大きな存在の親から、たまたま試験に落ちたときに「おまえは能力が足りない!」「いつも勉強しないからこうなるんだ!」とあからさまに非難されたら、子どもが傷つくことは大いにありえます。それは指摘したことが事実であってもなくても、です。
そういう場面で子どもに言ってあげるとよい表現があります。
「あなたらしくない」
要は親の期待値と結果は異なっていたけれど、「本当はもっとできるはずだ」と言ってあげるわけです。親がそれだけ期待しているとわかれば、子どもも自分に自信が持てるようになるでしょう。
もちろん注意すべきところはちゃんと言うべきです。親の目から見て「あなたが受験に失敗したのはこれが原因だろう」ときちんと分析し、伝えてあげることが必要となります。
ゲーム好きな子なら
まず一緒にやってみる
原則的な対応を踏まえた後は、個別の問題に応じ「自分が子どもの立場だったらどうか」と考えながら対応していくことです。
たとえば、ゲームに夢中になりすぎて勉強しない子どもなら、なぜそんなに熱中するのかに親が興味を向け、一緒にやってみることです。そうすればゲームにのめり込んでいることの意味がわかり、子どもに対して通り一遍でない、説得力のある共通言語を持てるはずです。
保護者向けの講演では、「子どもを勉強好きにするにはどうすればいいか」という質問が頻繁に寄せられます。しかし、「ご自分がお子さんと同じ年の頃に勉強好きだった人は手を挙げてください」と問い返すと、挙手するのはせいぜい一割くらいのもの。自分が勉強してこなかったくせに、子どもには「勉強しなさい」と迫る。そんな無茶を言う親がかなり多いのが現実です。そういう人は子どもの教育の前に、自分自身を見つめ直す必要があるでしょう。
子どもはペットではありません。一人の人格であるという立場を認め、その心に届く言葉を使えないと、いつまでたっても子どもの共感は得られません。
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