特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART1.仕事篇 - 20

奨励されて育児休暇をとったら評価を下げられた。どうすべきか

 
 
能力、評価のルール、上司の偏見……
原因をまず見極める
 
 
資生堂取締役常務
岩田喜美枝
Kimie Iwata
1947年、香川県生まれ。71年東京大学教養学部教養学科卒業、旧労働省(現厚生労働省)入省。2001年雇用均等・児童家庭局長。03年退任。04年資生堂CSR部長。06年取締役。07年より現職。
 
 

「最低限」だけやる企業
「人事戦略」でやる企業


 子育て世代の男性は、仕事と子育ての両方を大事にしたいと考える者が大半。また、共働き世帯では妻のキャリアにも配慮する夫が増えています。国も育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法などを定め、子育てと仕事を両立できる環境をつくるよう企業に求めています。

 育児・介護休業法では、(1)事業主は、育児休業の取得を理由として労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならない、(2)事業主は、育児休業中の待遇に関する事項や復帰後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項をあらかじめ定め、これを周知すること、と定められています。

 ただ企業側にも、法律を遵守するためだけに最低限のことしかやらない企業と、優秀な人材の採用や、育てた社員を退職させないための人事戦略として行っている企業との二種類があるようです。

 当社では、男性の育児休業者は2004年度に初めて出ましたが、後が続きませんでした。そこで、05年度からは男女共通で、育休期間が二週間以内であれば100%有給にする取り扱いを始めました。男性に二週間でもよいから取得してほしい、というメッセージが伝わったのか、同年度には男性16名が、06年度にも同17名が育児休業をとりました。

 会社のトップや人事部が育児休業の取得を奨励しても、実際に評価を下すのは直属の上司です。もし評価を下げられたのなら、それは管理職に奨励する理由が徹底されていない、もしくは「育児休業をとる男性社員はやる気がない」「残業できなかったり、仕事をしばしば休む人は成果を出せない」との先入観を上司が持っている場合も考えられます。

 さて、評価が下がった場合、自分の能力やパフォーマンスが下がったのか、評価のルールに問題があるのか、上司の評価が不当なのかがわからずに悩むことが多いようです。まず上司と話し合って、それを確かめる以外にないですね。

 その結果、評価のルールに問題があるとわかった場合は直接人事部へ、あるいは労働組合を通じて意見を伝えることです。当社では、昇格のためには毎年の評価ポイントの累積が一定数以上になることが条件になっていますが、育児休業をとった年は評価が自動的に低くなるルールになっています。知らずに休暇をとった社員が後で不満を抱くケースもありますので、今般、これを改めることにしました。これはある社員の申し出が検討の契機になりました。育児との両立のしやすさがその企業の評価に繋がる時代ですから、やりにくくても積極的に声を上げたほうがむしろ歓迎されるのではないでしょうか。

 上司の評価が不当と思われる場合は、対応が難しいですね。まず、会社の風土の問題か、上司個人の問題なのかを見分けることです。休暇をとったほかの複数の社員に話を聞いてみるといいでしょう。そのうえで風土の問題だと思えば、ルールの場合同様の問題提起がよいと思います。

 特定の上司個人の問題であると思える場合、その上司にはあなたが評価に不満を持っていることは伝わっているわけですから、次の評価まで待ってみるか、待てないと思えば、上司のさらに上の上司に相談してみてはどうでしょうか。

 常識的なことですが、休暇をとる前には周囲になるべく早く伝えておきましょう。上司は代替要員の採用を含めて体制を考えなければなりません。それでも同僚へのしわ寄せが不可避なことが多いですから、感謝の気持ちを忘れずに。また、常日頃から「困ったときはお互い様」と言える環境をつくっておくことです。

 
 
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