特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART1.仕事篇 - 13

肩書に見合った権限がなく、仕事がやりづらいときはどうすべきか

 
 
仕事は自然に与えられるものではなく、
狡猾に奪い取るもの
 
 
インディペンデント・コントラクター協会理事長
秋山 進
Susumu Akiyama
1963年、奈良県生まれ。京都大学経済学部卒業後、リクルート入社。98年からICとして活動。現在はジュリアーニ・コンプライアンス・ジャパンにてマネージングディレクターを務める。
荻野進介=構成
交泰=撮影
 
 

 なぜ上司があなたに仕事を任せてくれないのか。上司が置かれている状況や上司のタイプを考えると、以下、三つの場合が考えられます。

 まずは上司が「権限委譲したくてもできない」と思っている場合です。原因はずばり、あなたにあります。上司があなたの能力を評価していないので踏み切れないのです。また、能力は評価していても、会社の基本的な考え方や方向性の理解が足りないから、こいつに任せたら不安だ、と思っているのかもしれません。いずれの場合も実績を地道に挙げ、仕事で認めてもらうしか道はありませんね。

 もう一つ、あなたに人望はありますか。仕事はチームでやるものですから、いくらあなたが優秀でも、周りの人がついてこない人には仕事は任せられません。

 二つ目に、権限を委譲した結果、困った事態が生じるのを上司が恐れている場合があります。上司の保身ですね。例えば、あなたは優秀だから、権限を分け与えると自分の居場所がなくなるのではないかとか、リスクの高い仕事に手をつけ、失敗した場合、自分が尻ぬぐい役になるだけで面倒だ、と考えているかもしれません。

 私は若い頃は後者、つまり上司にお構いなく、面白そうな仕事にのめり込んでいくタイプだったので、そのときの上司の気持ちが今では痛いほどわかります。役員になれるかどうかの瀬戸際でしたから、私のような“暴れん坊”はさぞかし目の上のたんこぶだったでしょう。

 三つ目は、部下への権限委譲など決してできない性格の上司である場合です。こういう完璧主義者は部下としては大変頼りになりますが上司としては最悪。当たったら不幸としかいえません。

 でも上司も人の子です。あなたの場合が先のどれに当てはまるのかを考えたうえで、上司の信頼を勝ち得て、上手に権限委譲してもらう方法をお教えしましょう。

反対意見は言葉遣いに気をつけて

 大前提として確認しておきたいのは私心があってはならない、ということです。やりたい仕事があって、その方法論の一つとして権限委譲があるということ。権限委譲が目的であっては決してうまくいきません。

 そのことを踏まえたうえで、まずは言葉遣いに気をつけてください。上司に反対の意見を言う場合は「お気に障るかもしれませんが」くらい言い添えましょう。私は入社3年目の頃、課長に向かって「あなたの視野は狭すぎますよ。このままでは課長止まりです」と言ったことがあり、今考えると冷汗三斗、反省しきりです。

 もう一つは、上司の意見をなるべく否定しないこと。その代わりに多様な選択肢を与え、選ばせるのです。「○○課長の考え方とは別に、こういう考え方もあると思います。価値判断の軸をどこに置くかで選択は変わってくると思いますが」というように。こういう会話を繰り返すと、あなたと上司の間で思考のずれがなくなります。そうなったらしめたもの、この件はおまえに任せる、という案件が少しずつ出てきます。大切なのはくれぐれも急かないこと。権限は狡猾に、時間をかけて奪い取るものなのです。

 上司の上司に直訴する方法もありますが、この方法はお勧めできません。たとえ成功しても、当の上司からはもちろん、周囲からも嫉妬の目が注がれますので、相当の強心臓が要求されます。しかもその偉い人がいなくなったら、庇護者を失い、あなたの身も危なくなる。それよりは、仕事で実績を挙げ、誰もが認めるスター社員になって、合法的に権限を獲得することをお勧めします。

 
 
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