特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART1.仕事篇 - 7

大手のヘッドハンティング会社から
声をかけられた。話だけでも聞くべきか

 
 
やり残していることはないか。
もう成長する機会はないのか
 
 

レノボ・ジャパン社長
天野総太郎
Sotaro Amano
1968年、東京都生まれ。玉川大学文学部卒業。シャープ・エレクトロニクスUKを経て、2000年デルに入社。ホーム&ビジネスセールス事業本部統括事業本部長などを歴任し、デルの成長に大きな貢献を果たす。06年9月より現職。


荻野進介=構成

 
 

仕事内容と待遇は天秤にかけるな


 以下の二つの問いに関して、まずは自問自答してください。自分が今、取り組んでいる仕事に関して、やり残していることはないか。今の会社で、今以上の成長を期待できる機会はないのか。双方の問いに対し、自信をもって「ない」と言える人、あるいはそれに左右されない明確なキャリアビジョンをもっている方は、ヘッドハンターに会って話を聞いてみることをお勧めします。

 私は2006年8月、デルのコーポレートディレクターからレノボ・ジャパンの社長になりました。きっかけになったのは、その半年くらい前に外資系ヘッドハンティング会社から届いた一通の英文メールです。デルに入ったのは00年で、それまでも何通か、そういうメールや電話をもらったことがありますが、いずれもお断りしてきました。やりがいのある仕事を任せてもらっていたこと、自分自身が成長過程であったこと、掲げた目標に邁進していたこともあり、会社を移ることなどまったく頭になかったからです。

 デルにおける最後の役職はコーポレートディレクターで、当時、大きな目標を掲げていました。お客様に最高のサービスを提供できる組織づくりと自分の組織が担当するお客様の市場でナンバーワンのシェアを獲得することです。

 メールが入ったのは、この二つの目標をクリアできた直後で、大きな達成感を味わっていた時期でした。結束力抜群のチームで、みんな本当に頑張ってくれました。一番嬉しかったのは、十数人いた直属の部下がひとりも辞めず最後までついてきてくれたこと。転職が当たり前の外資系では大変珍しいケースではないかと思います。

 私自身はヘッドハンターから声がかかったときには先に掲げた目標を達成できていました。次なるチャレンジと自分の成長課題を模索していた時期であったこともあり、実際にヘッドハンターに会うことにしたのです。

 話を聞いてみると、私がデル時代にセールス部門の責任者として実績をきちんと出していたこと、仕事に関して前向きで、さまざまな改革に積極的に取り組んできた姿勢などを評価してくれていたようです。2〜3度、接触するうち、トップマネジメントを求めていることがわかりましたが、結果的に、「自分をさらに成長させてくれる滅多にない機会」と引き受けることにしました。レノボという会社の将来のポテンシャルを強く感じたのも、もう一つの要因です。

 当時の会社の上司に打ち明けた際にはさすがに引き止められましたが、最終的には気持ちよく送り出してくれました。その当時の私の上司には今でも大変感謝しています。

 転職する際、待遇と仕事内容を天秤にかける人がいますが、私はできませんでした。トップマネジメントの場合は特にそうですが、まずは仕事内容を優先して転職先を選び、全力を尽くしたほうがいい。思うような成果が上げられれば待遇は後からついてくるものです。キャリアアップという言葉がよく使われますが、給料が上がることは真のキャリアアップではありません。私は自分自身を成長させること=キャリアアップだと考えています。

 社長になって1年五カ月、仕事自体には大きなやりがいを感じており、転職自体は正解だったと思っています。お客様にご満足いただける製品とサービスをきちんと提供し、社員全員がレノボで働くことを誇りに思う会社にする、これが私の新たな目標なんです。

 
 
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