特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」

PART1.仕事篇 - 4

アタマの固い上司に新しいことを認めさせるには、どうすべきか

 
 
あくまで上司の立場を
考えた提案を心がけよう
 
 

日本市民法規事務所代表
行政書士
川端 裕
Hiroshi Kawabata
北海道大学経済学部卒業後、オリックスに入社。オリックス・コールセンターの設立を担当。2003年退社。現事務所を設立。法務事務所でありながらコンサルティング、カウンセリングも手がける。


柳澤美帆=構成

 
 

「この提案が通らないのはアイツ(上司)のせいだ」と、あなたが思っているうちは、自分の意見を通すことはできません。

 ではどうすべきか。まずは提案内容に問題がないか考えてみるといい。なぜ上司は、この企画にゴーサインを出さないのか、その理由を考えてみるようにします。人は常に「自分は正しい」と思いがちです。そうすると上司と自分の間には対立や摩擦しか生まれません。

 上司の立場にたって物事を考えて、上司がどんな仕事を抱え、何を重要視しているのかを理解するようにします。例えば営業利益を上げることが頭の8割を占めている上司に対し、それ以外の仕事を提案しても、聞く耳を持つわけがありません。逆に上司の立場を理解しているんだよ、そのうえでこの提案をしているんだよ、ということが相手に伝わる提案をすれば「コイツ、よく俺の立場をわかっているな」となるのです。

 また、提案が斬新であればあるほどリスクを伴うことも多いはず。ルーティンワークに慣れきっている上司ほど、提案を拒絶しがちになります。でも、いまこの提案を受け入れなければ、もっと大きな痛手を会社が負うことになるということと、そのリスクをうまく越えることができれば、大きなメリットを手にすることができるという、この二つのことをうまく説明できれば、ほとんどの上司がノーからイエスへと答えを変えるのではないでしょうか。新しい提案というのは、現在の状況と未来像とのギャップが大きい。上司は自分が理解できないことにイエスとは言いません。でもそのギャップを埋めていくように、細かくステップを区切って状況説明をしていき、上司にとっても会社にも利益になるということを順序よく説明できればいいと思います。

 万一、わからずやの上司や完全に仕事へのやる気を失っている上司がいて、それがボトルネックになってしまっている場合でも、上司の立場にたってものを考えるという姿勢は崩してはいけません。例えば、その人が仕事ではなく家での時間を大切にしているということがわかったら、提案も「あなたの仕事が楽になって、早く家に帰れます」というところを強調して説得すればいいのです。


プレゼン2割
段取り8割が成否の鍵


 このように考えていくと、自分の提案を上司に受け入れてもらうためには、日頃のコミュニケーションがいかに大事かということに気付かれるのではないでしょうか。上司がどんな仕事を抱え、何を重要視し、何を一番求めているのかを知る必要があるからです。提案を通すのに大切なのはプレゼン能力ではありません。それは全体の2割ほど。残り8割は段取りです。日頃のコミュニケーションを通じて、上司の仕事を理解し、そのことを上司にも気付かせておく。そういう能力がビジネスマンにとって、一番必要だといっても過言ではないと思います。直属の上司だけでなく、上司と横のつながりがある人物を自分の味方にし、さらにその上の上司とつながっておくなど、脇を固め、外堀を埋めていく。「そんなことはできない」と思うなら、あなたの提案はそれくらいのものなのです。

 私が多くの企業を訪れて実感することは、いまの日本の企業に部下の邪魔をしてやろうという上司はほとんどいないということです。部下を見殺しにするような上司がいたとしても、それを会社が放置することはありません。ですから、自分の新しい提案が組織の硬直した枠組みのせいで通らないのだと思うことなく、コミュニケーション能力を高めて情報を収集し、かゆいところに手が届くような提案を心がけましょう。

 
 
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