人に教えたくない店 [380]
実家の母は「どれほど貧乏になっても
食べ物だけは豪華に」がモットーでした
小池栄子さん
毎週必ず、多いときは週2回、ここ「傳々」までクルマを飛ばしています。ほとんど彼(主人)と一緒。実は二人揃って出不精の和食党なのですが、この店だけは別格です。とにかく肉質がすばらしくて、以前通っていた焼き肉やステーキの店にはまったく行かなくなってしまいました。
もともとは私がグルメな女優さんから教えてもらった店。あまりのおいしさに驚き、「なんで月島!?」と渋る彼を口説いて連れてきたところ、むしろ彼がはまってしまった感じです。彼は仲間と食べにきているのに、私が友だちと出かけるのは許しがたいらしい。真剣に怒るから黙って行くことはしませんが、「今日、傳々に行ってくるね」という台詞は彼より優位に立てる“私の武器”なんです(笑)。
私自身も、焼き肉は女友だちと行くより彼と行くほうがうれしいですね。というのも、私がたくさん食べるので、食べるバランスとかペースが友だちとは合わないんです(笑)。お肉をたくさん食べるうえにスープは一人で一つ、冷麺も一人前を軽く平らげてしまいます。それでも、ここ2年くらいで食べる量はずいぶんと減りました。以前は、彼と互角に張り合えていましたから(笑)。
結婚したことで再認識できたのが、家族がいる心強さと、家族で食事する時間の大切さです。実家の母は「どれほど貧乏になっても、着るものを節約してでも食べ物だけは豪華に」がモットーで、いつも食卓は料理であふれていました。父もちゃんと帰ってきて、夕食はみんなが揃う、にぎやかで楽しい時間でした。だから今も、生きていることの一番の喜びは食事です。仕事なので仕方ないのですが、彼と夕食時間を一緒に過ごせないことがあると、ストレスが溜まってしまいます。
出会ったときから二人の嗜好は似ています。お米や肉じゃがなどのごく一般的な和食が大好き。傳々の焼き肉を除くと、中華料理にも年に一回出かける程度なのですが、そんな中、足が向く貴重なイタリアンが「ミキータ代官山」。パスタが感動的においしいんです。友だちとランチで出かけることもありますが、私たちにはちょっと特別な意味もあって、誕生日や結婚記念など大切な日はイタリアンが多いですね。
この店では厨房に併設されているカウンター席が気に入っています。シェフ以外に3名ほどが働いていますが、シェフに対する信頼感や学びとろうとする積極性が見えて、体を張った頑張りぶりが気持ちいい。これがおいしさだけじゃないプラスα。通いたいと思わせるのは、味ももちろんですが、そこに働く人々の豊かな人間性を肌で感じたいから。この2軒はプラスαでも私を満腹にさせてくれるお店です。
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●焼肉
焼肉酒家 傳々 でんでん
“肉博士”オーナーが
もんじゃの町に開いた
但馬牛専門店
●もんじゃで知られる東京下町・月島。この町が持つもう一つの顔が、店数は少ないながら粒揃いの焼き肉の旨さ。6年前にオープンし、今もっとも勢いがある一軒。上質な和牛肉を値頃で提供するほか、スープや麺、ご飯ものも充実。
●東京都中央区月島3-13-1 サンライズ濱田ビル2F
TEL.03-3536-0003
営業時間/17:00〜24:00(LO) 無休 カード可 ※とくに金〜日曜の食事時は予約したほうが確実。
オーナーの高矢俊之店長は、“肉博士”とも呼ばれる。幼なじみの関係で最高峰の品質と評価される但馬牛の仕入れルートを持つ。神戸肉流通推進協議会に所属する関東唯一の飲食店でもある。
- 肉そのものを味わってほしいと塩味が中心。写真奥の皿は左から上ミノ(第一胃袋)900円、究極ハラミ2100円、マキロース(リブロースの外側の肉)3150円。いずれも小池さんが必ず食べているお気に入り。ハラミやロースはおすすめの山葵で味わうと、肉の甘さがより引き出されて美味。
- 絶品のホルモン(大腸)900円。生で味わえるほど新鮮なので、片面さっと焼きが正解。刻みねぎをたっぷり挟んで味わう。
- 珍しいタンユッケ1800円。さっぱりとした味わいで、独特の歯ごたえも楽しい。
●イタリア料理
ミキータ代官山
美味と価格に納得の9皿コース料理
カウンター席なら調理の様子を楽しめる
●青山「トラットリア・ミキータ」の2号店として2006年にオープン。アラカルトもあるが、北見イタリアンの真骨頂を堪能できるのはおまかせだ。ディナーには7皿の4500円もある。
●東京都渋谷区恵比寿西1-30-9 パサージュ代官山B1
TEL.03-3770-0777
営業時間/12:00〜14:00(LO)、18:00〜22:00(LO) 月曜定休 カード可 ※ディナーはテーブルチャージ1人600円

料理は9皿を楽しめる、北見博幸総料理長おまかせディナー6300円より。
- 前菜のすずきのカルパッチョとシマ海老のボイル。冷燻にかけたすずきの香ばしさと生に近い海老の甘味をワインのジュレ、トマトの酸味がつなぐ。
- 魚のメーンディッシュは、いさきのソテー。フレッシュポルチーニの風味が、白身魚の淡白な滋味に奥行きを持たせる。
- コース料理では冷・温の2種のパスタを味わえる。手前がバベッティーネの冷製アラビアータで、天然なめこのしゃっきりとした歯ごたえも魅力。奥は、さんまのスモークとリコッタチーズのスパゲッティーニ。止まらなくなるほどのおいしさ。いずれもパスタは20gずつながら、非常に満足感が高い。
- デザートはノッチョーラとリコッタのタルト、冷製クレームブリュレ、マチェドニアの盛り合わせ。程よい甘さが食事を彩る。
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