ハーバード式 仕事の道具箱 [135]

手助けするべきか、放り出してしまったほうがいいのか

ダメなマネジャーの「取扱説明書」

 
 
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期待通りの結果を出せないマネジャーを
放出したいが、新しい人を採用するのは
それ以上のリスクとコストを伴う。
そんな悩みを抱えた上司が
まずやるべきこととはなにか。
 
 
ポール・ミッチェルマン = 文ディプロマット = 翻訳
 
 

「できない」部下を
放置する余裕はない

 パフォーマンスの低い部下を大目に見ることは、率直に言って無理な相談だ。最大級の大規模組織にとってさえ、足手まといを抱えていくには予算が厳しすぎ、余裕がなさすぎ、しかも成長の必要性が大きすぎる。

 仕事に追いまくられている企業幹部がえてして最初に考えるのは、パフォーマンスの低いマネジャーを放り出すことだ。どう考えてみても、彼らに対処する余裕が誰にあろう。「パフォーマンスの低い部下を管理するには途方もないエネルギーが必要だ」と、ニューヨーク州カゼノビアの通信コンサルティング会社リッジ・アソシエーツのCEO、ジム・ボルトンは言う。「上司は彼らのパフォーマンスを管理しなければならないだけでなく、慢性的に足をひっぱる彼らは上司のパフォーマンスにとっても問題になる」。

辞めさせる前に
まず考えよう

 重要なポジションにいるマネジャーを解雇して、代わりに新しいマネジャーを採用するというのは、簡単にはいかない時間のかかる仕事である。リーダー養成コンサルティング会社ジェネシス・アドバイザーズのパートナーで、著書『ハーバード・ビジネス式マネジメント──最初の90日で成果を出す技術』でも知られるマネジメント移行の専門家、マイケル・ワトキンスによれば、解雇のプロセスに痛みやリスクが伴うだけでなく、新しく採用したマネジャーが価値を生み出すようになるには、6カ月以上かかることもあるからだ。

 そのため多くの企業幹部が、問題行動にまったく立ち向かおうとしないとボルトンは言う。「彼らは問題を避けて通る。その人物を避け、フィードバックを与えるときも曖昧な言い方しかせず、パフォーマンスの低いこれらの部下の不十分さを補おうとして、往々にしてさらに多くの仕事を抱えることになる。私がかつて一緒に仕事をした、ある企業幹部は、パフォーマンスの低い部下が自分ではなく、別の誰かの下で働くことになるよう、自分が指揮する1000人の部門の組織変更を行った。しかし結局、その選択はどっちつかずということになる」。

 パフォーマンスの低いマネジャーを残すか、それとも辞めさせるか。それを決めるにあたっては、不十分なパフォーマンスの背後にある原因を診断し、それに対処する作業を少なくとも一度は試してみることが、自分自身や自分のいる組織、また問題となっているマネジャーに対する上司の責務だと専門家は言う。そのマネジャーが過去に成果をあげていた場合にはなおさらだ。それを実行するために、専門家からの次のアドバイスに従うことを考えてみよう。

原因を診断し、
処方箋を考えよう

 パフォーマンスの低いマネジャーをどうするか、という難題を解決するためには、その前に問題の具体的内容を明確にする必要がある。まず、そのマネジャーの実績を細かく評価するところから始めよう。

「そのマネジャーは何をしていて、何をしていないか。数値目標を達成しているか。達成していないとしたら、それはなぜか」を検討せよと、リーダーシップとコミュニケーションのコンサルタントで、『How Great Leaders Get Great Results』の著者、ジョン・バルドーニは言う。

 次に、360度評価の結果があれば、「同輩や上司や部下が、そのマネジャーについて何を語っているか」をじっくり検討せよ、とバルドーニはアドバイスする。それに加えて、そのマネジャーのパフォーマンスについて主な利害関係者や同僚に問い合わせることで、上司自身によるそのマネジャーの360度評価も行う必要がある。

 さらに、そのマネジャー本人に、自分のパフォーマンスがなぜ不十分なのか、その理由について自分自身はどう考えているかを語らせよう。本人が挙げる理由には、当の上司からの支援の不足から、人手や予算の不足、さらには間近に迫っている離婚、高齢の親の介護、子どもの世話といった、職場の外の問題まで、さまざまなものが考えられる。

 それから、能力やスキルと仕事との適合性を検討しよう。「このマネジャーは彼に適したポジションにいるだろうかと考えてみよう」と、バルドーニは言う。「この仕事をこなす能力とそれを遂行するスキルの両方を備えているかを考えるのだ。能力はコーチングでどうにかできるものではないが、スキルは高めることができる」。

 バブソン大学の経営学教授で、『The Coaching Organization: A Strategy for Developing Leaders』の共著者、ジョセフ・R・ワイントローブによれば、「マネジャーのパフォーマンスの問題は、マネジャーとその上司の間に、期待していること、されていることへの共通理解が不足していることから発生する例が最も多い」。

 これを診断する一つの方法は、そのマネジャーに「マネジャーとしての自分に求められている最も重要なことを三つ」書き出すよう求め、「それからそのマネジャーの上司が別個に、そのマネジャーに期待していることを三つ書き出してみる」ことだと、彼は言う。

 その作業を終えたら、二人で結果を突き合わせてみる。

「大多数のケースで、二つのリストの内容はかなり違っている。期待が一致している率は約3分の1にすぎない」と、ワイントローブは言う。「このデータを基に、上司はマネジャーと期待をより明確に一致させて、マネジャーが『なすべきこと』を遂行することに集中するのを手助けすることができる」。

解決のために
妥当な時間を与えよう

 パフォーマンスの好転については現実的な期待を持つべきだと、ボルトンは企業幹部を戒める。「人間が行動パターンを変えるには最低でも6週間かかる」と彼は言う。マネジャーに妥当な時間を与え、それでも彼が上司から明確に示された期待を満たさない場合には、「上司は、そのマネジャーの相変わらずのパフォーマンスが、会社が支払っている代価に見合う価値があるか否か結論を出さなければならない」と、ボルトンは語っている。

 
 

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