人に教えたくない店 [376]
牛丼やコンビニ弁当でも手を抜かず
一工夫して美味しく食べるのがポリシー
すずき Bさん
子どもの頃、僕は実家の食卓で、母親と一緒にご飯を食べたことがない。というのも、母親は食事中、つねに次の料理を準備してる。みんなが食べ終わってから、やっと座れる状況でした。
たとえば、朝食でも魚や漬物以外に3〜4品並ぶ。うちは男3人兄弟なんですが、ご飯はたくさん盛ると下の米がつぶれて空気が入らないからと、茶碗に少しずつ。だから、何度もおかわりが行き交う。おかずも大皿ではなく、ひとりひとりに。しかも、食べたいものが違うと、それぞれメニューを変えてくれたりもした。子どもが「おいしい」というのが嬉しくて、母親はやりがいがあったみたい。意識はしていませんでしたが、おいしさへの感覚は小さいころから培われていたと思います。
テレビ番組の企画・構成という仕事をしていながら、実は以前、タレントさんたちとのコミュニケーションが得意ではなかった。でも、おいしいものの話って、誰とでもできるのに気づいた。会話が盛り上がれば、人脈が広がる。最終的には、仕事にもつながっています。人から聞いて気になる店は、携帯電話に登録。エリアやジャンル分けもして400軒以上あるので、大事な情報源ですね。
そんななかで、まさしく“人に教えたくない”のが、「竹慈庵 なかだ」。千一夜限定営業というだけでそそられますが、見た目は和なのに味はフレンチと融合していたりと、アレンジの仕方を含めて、おいしいだけではなくすべてが楽しいんです。
「鳥多古」は、ありとあらゆる名店を体験した人を接待して満足してもらった、という話を聞いて出かけました。いやあ、あのレバーの串焼き、ほんとにおいしかったなあ。
外食は週に5〜6回。たまには、牛丼屋にも行きますよ。ただ、僕はつゆと米の混ざり具合が、自分の好みじゃないと駄目。だから吉野家なら牛皿を頼むんです。学生時代はコンビニ弁当も食べましたが、電子レンジでチンしたことはないですね。漬物まで温まってしまうのも、プラスチックやラップの匂いがご飯につくのもすごく嫌だった。焼きそばはフライパンで温めなおしていました。
1年365日、食事の回数は限られているから、少しでもおいしく食べたい。ただね、最近、尿酸値がやばい。だから、ビールをやめたり、ウオーキングをするよう医者に言われてます。できてませんけど(笑)。
最近、どの番組を見てもコメントが「おいしい」ばかりで、つまらないなと感じています。しかも、おいしそうな料理さえ出しておけばいいという風潮も強い。だから逆に今、料理が出ないグルメ番組を考えているんです。料理がなくても会話がすごくおいしそう、見ていてよだれが出てきそう、となれば、面白いかなと思っています。
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●割烹
竹慈庵 なかだ
渋谷・松涛の一角に
1001日間限定の
“美食家の隠れ家”開店中●1001日の期限付きで、2005年9月5日にオープン。松涛のひっそりした住宅街の一角に位置する(住所と電話番号は非公開)。料理はおまかせのみ1万5000円。原則として紹介制のため、予約は連絡先、希望日、人数をメールした後、店からの連絡をお待ちいただきたい。予約は遅くとも2週間前に。
●営業時間/18時〜 不定休 カードほぼすべて可
- 富山の銘酒「満寿泉」の酒粕を用いた「生フォアグラの酒粕漬」は、年間を通しての定番料理。ふわり、とろり。濃厚な甘美。ドライトマトを練り込んだ自家製の中国パン花巻とともに出される。合わせる酒はやはり、同源となる「満寿泉」を。
- 60度の低温の油で30分以上、皮つきのままじっくり火を通した「揚げ蕪」は、燻製塩で食べる。一見、なんの調理も施していないように見えるが、なかには蕪が本来持っていたジューシーさと旨みがたっぷり。
- 「すっぽんの赤ワイン煮」がよそわれた古伊万里ほか、それぞれの器もまた、心を満たす存在。
- 「焼き葡萄」は、文字通り炙っただけの葡萄だが、まるで砂糖で煮込んだかのように甘味がふくらむ。フォアグラ以外は、秋に予定されているメニューの一部。
●鶏料理
鳥多古 とりたこ
「パンは客が持参」など
ユニークな決まりに驚き
鶏の力強い味に二度驚く●大正末期の創業。料理は5570円、もしくは最後の鍋に合鴨を使う6620円のコースのみ。鶏そのものの質と職人業に加え、値段から予想する以上のボリュームに満ち足りるひととき。しっかり空腹にして出かけたい。1日4組まで。前日までに必ず予約のこと。
●東京都台東区浅草2-32-1
TEL.03-3844-2756
営業時間/18:30〜21:00 日曜、祝日定休 カード不可

- コースの最後は、すき焼き風の「たたき鍋」。締めにはうどんを。
- 炭火でふっくら仕上がった串焼きはつくね、大根おろしとともに出される正肉、塩で焼く分、素材の旨さがくっきりわかるレバーの3種類。
- すずきBさんが未体験という「鶏の酒蒸し」は、タルタルソースや鶏、タマネギ、きのこなどすべてをしっかり混ぜ合わせるのが肝腎。素朴な面持ちながら、実にエレガントでコクのある味わい。白ワインを誘う。コースに登場するのは、3人以上から。フランスパンは来店時に客が持参するシステム。
- 清々しさが鮮度を物語る「鶏わさ」。現在、料理に使用するのはいずれも、那須高原あじさい鶏。冷酒「浅草観音裏」895円は、鶏肉の甘味と絶妙な融合を見せる。
店内には10年前に亡くなった主人増田豊澄氏の写真が。やんちゃなお人柄の好人物だったという(写真右上)。









