人に教えたくない店 [373]
アメリカ型のファストフードで
食事の時間を削って何が得られるの?
丸山和也さん
なにが嫌いといって、真剣さがないことが嫌いなんです。まあ、今日は法律的、政治的なことは横へ置いときますけどね(笑)。食事もね、ぼくは真剣に食べたい。だから、外食するのなら、店に相応の気合がなくては困るんだ。
一番いけないのが、テレビ番組の収録の合間に出るような弁当。楽屋に届けられる幕の内弁当ね。味が濃いし冷たいでしょう。こちらに一切の選択権がないうえ、30分で食べろという具合に時間まで指定される。人間にとっての食事の大切さを、真剣に考えてない。食に対する冒涜ですよ。これが耐えられないから、ぼくは弁当を食べない。空腹を我慢してでも、好きなものをゆっくり味わいたい。そういうところは頑固ですね。
朝食は玄米食なので、外ではメリハリを考えてなんでも食べる。「ボンファム」は事務所の近くにあって、15年前くらいからたまに訪れます。スタンダードなスタイルを守っているところがいい。フランス料理は、ぼくのイメージに合わないと言われますけど、嫌いじゃない。作法に「型」があるでしょう。ぼくは茶道をたしなむけど、型にうるさい姿勢は案外心地いい。でも初めのうちは、フィンガーボウルの水を飲んで恥をかいたりしてね。今でもフランス料理に慣れたわけじゃない。嫌いじゃないけど向いてないのかな(笑)。
だめなのがアメリカ型のファストフード。早く出てきて柔らかくて、歩きながらでも食べられて。真剣味が足りないね。食事の時間を削って、彼らはなにを得ようとしているのか。食べること以上に大切なことはそうは多くない。アメリカにいたときには拒絶反応を起こしました。
この取材の後も打ち合わせが入っています。忙しい中でも腰を据えて食事をするというのがいい。精神の状態が「ON」になってるから、ボリュームのある料理も食べられる。
弁護士という職種は闘いを強いられるわけですが、そのためにもしっかり食べたい。ただ、現代は筋力の闘いじゃない。精神力、忍耐力の勝負なんですね。気力が充ちるような食事の時間を過ごしたいね。
たまに自宅で夕食を摂ると、調子がおかしくなる。その後なにもしないからです。食事後に数時間働かないと消化不良になってしまうようでね。だから夜遅くには一切食べない。そういう体質なのかもしれません。
酒好きのように思われていますが、量は少しだけ。「酒は心の香水」が持論で、香水は少しでいい。気持ちを和ませるための「型」みたいな感覚です。「ほそ川」には吉川市時代から通っているけど、うまく酒を飲ませる、うまいそばを食べさせるという主人の気合が伝わります。酒肴も天ぷらもうまいから、ここに来たら、少しだけというわけにはいきませんね。
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●ビストロ
ビストロ ボンファム
都心の路地裏にひっそり佇む
本格フレンチ料理店●創業25年。外堀通りのひとつ路地裏、意外な場所にある。各国大使館に常連客が多いためか、伝統的なメニューが基本。その中に新鮮味を加える工夫を怠らない。
●東京都港区赤坂1-3-13 溜池鈴木ビル1F
TEL.03-3582-0200
営業時間/11:30〜14:00、17:30〜22:00(LO) 日曜休 ランチコースは2835円から。ディナーの平均予算は1万円。料理にぴったりのワインとともにどうぞ。
- 柔らかさに頬が弛む「オックステールの赤ワイン煮」(4400円)。赤ワインに漬け込んだ牛テールをじっくり5時間煮込む。赤ワインソースの煮詰め具合がいい。
- デザート「パイナップル4種の盛り合わせ」(950円)。手前より時計回りに、ゼリー、クランブル、シャーベット。シャーベットに冠されているのはベイクドシート。
- 「ハタのソテー・蕗ソース」(3600円)。鮮やかなグリーンソースは、ベルモット、魚の出し汁、バターに裏ごしした蕗の葉を加えたもの。ほのかな苦みがバターソテーしたハタに合う。
- 「オマール海老と季節の野菜のギリシャ風」(3600円)。新鮮素材をオリーブオイルでマリネし、はちみつの特製ドレッシングで和えた。さっぱりした中に豊かなコクが広がる前菜だ。
●蕎麦
江戸蕎麦 ほそ川
“十割名人”の
主人が打つそばに
おいしい酒肴●埼玉県吉川市から4年前に移転。店主・細川貴志さんが材料の仕入れ、皮むき、そば打ちを手がける。ゆったりとした店内で「せいろ」(十割そば)を味わえる至福。そばをたぐった後のそば湯が隠れた名物。ドロッとしていてうまい。
●東京都墨田区亀沢1-6-5
TEL.03-3626-1125
営業時間/12:00〜15:00、17:30〜21:00(LO) 月、第3火曜休 土日、祝日の予約は不可。全席禁煙。個室(8名用)あり。

- 看板の「せいろ」(950円)。主人が自らの足で探して契約した茨城、長野県産のそば粉十割。
- 「ひや加茂茄子そば」(1700円)といった変わりそばも人気。加茂茄子の輪切りを揚げ浸しにして冷やしそばに。茄子の柔らかさとそばの歯応えのコントラストが絶妙。
- 落ち着いた店の雰囲気には酒が似合う。「そば前」と称する厳選の日本酒を引き立てる心憎い酒肴。ゆず、そばの実入りの「焼き味噌」(手前、650円)、左は「ほやの塩辛」(600円)。鯛の塩辛にほやを和える。共に塩分抑えめの上品な味だが、不思議と酒がクイクイ進む。その後のそばがまたうまい。
- 天ぷらのうまさもよく知られたところ。右の大ぶりの「帆立天ぷら」(1400円)は塩で。中はレア。さっと揚げることで甘味が立つ。
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